第二十七話 仙人その十八
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「ここでな」
両者の闘いはさらに激しくなっていた。そして髑髏天使もまた。有翼人と激しい闘いを繰り広げていた。
両者は接近戦を行っていた。魔物はその両手の爪で引き裂かんとする。髑髏天使はそれに対して剣を繰り出す。そうした闘いであった。
魔物の攻撃は素早い。髑髏天使をしても防ぐので手が一杯であった。魔物はその激しく素早い嵐を思わせる攻撃の中で彼に問うてきた。
「防ぎきれるか、最後まで」
「この俺がか」
「そうだ。我の攻撃にだ」
こう彼に問うてきたのだ。
「果たして」
「それは貴様が心配することではない」
こう魔物に返す彼だった。
「このことはな」
「そう言うのだな」
「その通りだ。そしてだ」
「むっ!?」
「俺はただ剣を持っているだけではない」
不意にこんなことを言ってきたのだった。
「ただな」
「それはどういうことだ?」
「こういうことだ」
言いながらであった。その身体を赤くさせてきた。権天使の力だった。
その力で右の剣に炎を宿らせた。それで魔物に切りつけてきたのだ。
「確かに貴様は素早い」
「それは認めるのだな」
「そうだ。だがこの力はどうだ」
炎の剣を右から左に繰り出しながらの問いだった。
「この力。防げるのか」
「ふむ。ならばだ」
それを見た魔物はまずは動かなかった。声も冷静なままである。
しかし今まさにその剣を受けるという時になってだ。姿を消したのだった。
「むっ!?」
「我の力は素早さと鋭さのみ」
声だけが聞こえてきた。
「炎を防ぐことはできない」
「そうだというのか」
「そうだ。しかしだ」
それまでいた場所のすぐ後ろに現われてみせてきた。どうやら素早く右に跳びそこから今の場所に移動してみせたらしい。そうしたようだった。
「攻撃を受けなければいいだけだ」
「防げなければかわるということか」
「我の速さは風を超える」
その黒い猿の顔での言葉だった。毛の色は全身銀色である。それはまさに彼を風そのものとして見せている、そうした銀色であった。
「炎を受けることもない」
「つまり俺の攻撃は受けることはないというのだな」
「既に見切った」
これが彼の返答だった。
「そういうことだ」
「そうか。俺の動きはか」
「全てだ。そして」
「そして?」
「貴様は我の攻撃を全て見切ることはできない」
それは無理だというのだった。
「決してだ」
「それを言える根拠は何だ」
「今貴様は我が消えたと思ったな」
言うのは今の動きからだった。
「そうだな」
「確かにな」
嘘は言わなかった。まさにその通りだった。
「貴様の動きはあまりにも素早い」
「では答えは出ている。我が勝つ」
そして髑髏天使が敗れると、言い切ってみせたのだ
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