第二十七話 仙人その十七
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「貴様等が闘うのはわかった」
「うむ」
「ではただ闘うだけか。髑髏天使を倒しその力を得る為だけか」
そのことを問うたのだった。
「それはどうなのだ。貴様等は何の為に闘う」
「それは」
「ただ闘うのは修羅だ」
それだというのだ。六界の一つにいて互いに闘い続けるだけの存在。それが修羅である。これは仏教の中にある話であった。
「それは修羅だ」
「それだというのか。我々は」
「貴様等は修羅ではない」
しかし彼はそうではないと魔物に告げた。そう、魔物にだ。
「魔物だ。魔物は何の為に強くなる」
「それは」
「ただ闘い相手の力を手に入れ」
死神はまた語った。
「そして強くなるだけなのか。それはどうなのだ」
「わからない」
魔物は死神のこの問いに答えられなかった。
「それはわからない」
「そうだろうな。そして」
「そして?」
「貴様等の神もそれはわかっていない筈だ」
「あの方々も」
「私にもわからない」
それは彼もだというのであった。
「私にもわからないことだ」
「では何故今言ったのだ?」
「疑念を感じたからだ」
魔物を見据えながらの言葉だった。何時しか二人の興亡は中断していた。そのうえで言葉と言葉のやり取りに入っているのであった。
「そのことに対するな」
「疑念か」
「そうだ。互いに闘い力を身に着け」
またそうした存在について語る死神だった。
「それにより来たるべき最後の戦いに備える戦士達もいる」
「エインヘリャルだな」
「如何にも」
まさにそれだと答えた死神だった。
「北の神々の僕達だ」
「あの戦士達は炎の巨人達と戦う宿命にあるな」
「そして神々自身もまただ」
それが北欧神話である。ラグナロク、神々の黄昏のことだ。
「その中に身を投じるものだ」
「では我等はそれだというのか」
「修羅かエインヘリャルか」
その双方を並べた言葉だった。
「貴様等はどちらだ」
「それは答えられる」
魔物は今の彼の言葉にはすぐに返した。
「どちらでもない」
「どちらでもか」
「我等は魔物だ」
あくまでそれだというのだった。
「それ以外の何者でもない」
「そうか」
「闘いが全ての存在だ」
そしてまたこのことを話した。
「それを言っておく」
「わかった。それではだ」
「闘いを再開するとしよう」
言うとすぐにだった。その眼力をまた放って来た。それは一つではなかった。
三つだった。それを立て続けに放ちそれで死神を襲って来た。三つの眼力が彼に迫る。
「三つか、今度は」
「来るものは一つとは限らない」
ここでも落ち着いている魔物の言葉だった。
「こうして幾つもある場合もある」
「確かにな。しかしだ」
「しかし?」
「幾つ来ようともだ」
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