SAO編
二十話 音ならざる言葉
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と組んで一つ、分かった気がする」
「ほお、それは何ぞや?」
その答えを聞いた時、俺は自分自身の口角が上がるのを抑えられなかった。
やはり、俺の知りたかった答えとは違ったが、その言葉は俺を歓喜させるには十分な物だったのだ。
「なぁ、剣見せてくれよ」
「え?……あぁ」
突然話題が変わったことに驚いたような表情を浮かべたキリトだったが、すぐにメニュー画面からオブジェクト化した純白の片手直剣を、俺の方に差し出す。
予想道理というか、程良く重い。
キリト好みだろうと分かる。良い剣だ。
本当に、この剣をリズはキリトの事を思いながら打ったのだろう。
自慢の勘だけでは無い。それは、剣の固有名を見ても十二分に分かる事だった。
「《ダークリパルサー》、《暗闇を払うもの》か。いい名だ」
ほんとうに、最高の名だろう。
此奴《キリト》に持たせるにはピッタリだ。
「なぁ、お礼。ちゃんと言ったのか?」
「え?」
「だからお礼だよ。お、れ、い」
普通に聞いたなら、これは制作に対する礼だ。だが……
「……まだ、だな。」
「そうか、なら──」
俺は純白の片手剣を持ち主に再び差し出しながら言う
「ちゃんと言ってこなきゃな?」
コクリ、と頷きながら剣を受け取ったキリトに、俺は微笑んで「よし!」と告げた。
途端、キリトが弾かれたように店の外へと走り出す。後ろ姿に、「ありがとう」の言葉を残して。
────
俺は今、リンダースの最も高い建造物──ゲート広場に面した教会の尖塔の上──に居る。
策敵スキルを起動させズームした視線の向こうでは、リズとキリトがなにごとかを話しているが、此処からでは声は聞こえない。
まぁ、かといって、わざわざ接近して話を聞きに行くほど俺は野暮じゃないが。
「まったく、何時の間に女を惚れさせる才能なんか身に付けたんだか……」
だがまぁこれから少しずつ、アスナやリズの手によってキリトが少しずつ明るくなってくれれば、俺自身非常にそれは嬉しい。
これからの事を想像し、軽くに微笑みながら俺は美しい街の情景と共に、キリト達二人を見つめる。
「こりゃ、今日は帰りますかね?」
どうやら、冷裂のメンテナンスはまた明日になってしまったようだ。残念。
そう思いつつ、俺は尖塔の上から教会の二階へと飛び降りたのだった。
Forth story 《裏側であった話》完
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