第二十七話 仙人その六
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「青だの白だの赤だのじゃったな」
「そうだが」
「まあ普通の色じゃな」
そうした色をこう評するのであった。
「普通のな」
「少なくとも輝いた色ではなかった」
「しかし金と銀は違う」
博士はここでまた金と銀のことを話した。
「全くのう」
「そうだよね」
「輝いてるし」
「そこが全然」
周りの妖怪達も博士の今の言葉に頷く。
「言われてみればね」
「そうだよね」
「その通りじゃ。あからさまに何かが違う」
博士はそこに注目していた。そしてそれを牧村にも話し続けるのだった。
そうして牧村もだった。その話を黙って聞いていた。
「明らかにな」
「では俺がこれから身に着けるかも知れない力は」
「気を着けるのじゃ」
博士の言葉は強いものだった。
「充分にな」
「そうなのか」
「これまでは人間の力じゃったかのう」
「人間の?」
「そうじゃ」
それだという博士だった。
「まだそうだった気がする」
「ではその二つの天使は」
「天使は階級が上がればそれだけ神に近付く」
このことも話された。
「それだけにじゃ」
「神にか」
「そう、神にじゃ」
彼はまた言った。
「神は人とは違う」
「それはわかっている」
「それに近付く。即ちじゃ」
「人ではなくなっていくのでもいうのか」
「まあそうなるな」
少し言いにくそうにして述べた博士だった。
「結果としてじゃが」
「俺が人ではなくなる」
「今のところはそうではないが」
「あれっ、そうかな」
「何か気配変わってきてない?」
「牧村さんって」
そう言うのだった。
「何か結構ね」
「変わってきてるし」
「不思議と」
「俺がか」
牧村は彼等のその話も聞いていた。そうしてそのうえで述べるのだった。
「変わってきているか」
「威圧感出て来たし」
「プレッシャーみたいなね」
「それもあるし」
それもだというのである。
「随分と変わってきてるよ」
「確かにね」
「最初と比べても」
こう言って牧村を見るのだった。しかし牧村は今は多くを語らなかった。ただこう言うだけだった。
「それならばだ」
「それなら?」
「どうなの?」
「進むだけだ」
それだけだというのである。
「そうすれば嫌でもわかる」
「智天使になってみるのじゃな」
「その時にわかるな」
「そうじゃな。なってしまえばな」
「ではその時に考えるとする」
また言った牧村だった。
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