第二十七話 仙人その四
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「やはり俺が行かせてもらう」
「行くんだ」
「どうしてもっていうんだな」
子供とロッカーがその彼に問うた。
「それなら僕はいいけれど」
「俺もだ。譲ってもいいぜ」
彼等はそれぞれこう彼に告げた。
「じゃあそれでね」
「よし、決まりだな」
二人はそれで下がった。これで本当に決まった。
「よし、じゃあ」
「これでな」
「感謝する」
青年はその二人に対して礼を述べた。
「では行かせてもらう」
「それではその様に」
老人もここで言った。
「貴方が御願いします」
「ではすぐに行かせてもらう」
青年はもう姿を消そうとしてきていた。動きが確かに早かった。
彼はすぐに姿を消していく。その中でまた言うのであった。
「では迎えに行くその時にだ」
「ええ、どうぞ」
また彼に応える老人だった。
「それも楽しまれて下さい」
「そうさせてもらう。ではな」
「ええ」
こうして青年は完全に姿を消した。話はこれで終わりだった。他の魔神達もそれで姿を消した。後に残ったのは闇だけであった。
牧村はこの日も博士の研究室にいた。そうしてまた天使として進化したことを話した。すると博士はいつもの様に自身のその机に座りながら彼に対して言ってきたのであった。
「これで上級の天使にもなったのう」
「そうだな。これでだな」
「あと二つじゃ」
まずはこう彼に告げるのであった。
「二つじゃぞ」
「あとの二つは」
「わかっていると思うがじゃ」
「熾天使と智天使だったな」
「左様」
まさにその二つだと返す博士だった。
「その二つじゃ」
「あと二つになったのじゃな」
「しかしその二つはじゃ」
博士の言葉が次第に神妙なものになってきた。そうしてその言葉で彼に話すのだった。
「特別な存在なのじゃ」
「特別か」
「天使の中でも特にじゃ」
そうなのだというのである。
「かなり特別じゃ」
「智天使は確か」
「知っておるようじゃな」
「四つの顔と翼を持っていたな」
このことを言う牧村だった。
「そしてその顔は」
「人と牛と獅子と鷲じゃ」
博士がその四つの顔について述べた。
「その四つじゃ」
「何かそれって」
「化け物みたいな姿だよね」
「だよね」
周りの妖怪達はそれまで黙っていたが今の博士の話を聞いて目を顰めさせて述べた。
「何ていうかな」
「普通じゃないし」
「その通りじゃよ。最上位にあたるこの二つはじゃ」
博士は妖怪達にもこのことを話すのだった。
「力も別格じゃし姿も違ってくるのじゃよ」
「それでその四つの顔に四つの翼!?」
「僕達より凄い格好だし」
「そして熾天使じゃが」
その天使の話もするのだった。
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