第二十七話 仙人その三
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「それは」
「それは?」
「奥底から感じる」
そういうものだというのだ。
「そして底知れぬ邪悪な。原始的な意志をな」
「邪悪ですか」
それを聞いて首を傾げさせた老人だった。
「邪悪とはそれはまた」
「奇怪だな」
「確かに」
他の神々もこう述べた。
「我等とはまるで違う」
「邪悪とは」
「俺達は邪悪ではない」
彼等はそれは強く意識していた。
「確かに人を食う者もいる」
「しかしそれはあくまで糧としてだ」
「楽しんで食らい嬲り殺すものではない」
「しかもよ」
口々にそのことを言うのであった。
「最近じゃ人を食べなくても充分に美味しいものがあり糧も得られるのに」
「何も人をそうする必要もなくなったし」
「ただ。戦うだけだ」
それだけだというのである。魔物のその存在意義である。
「ただ戦いあの髑髏天使を倒す」
「それだけだというのに」
「邪悪であるとは思いもしない」
彼等にしてみればそれだけなのだ。戦いを好むか好まないかで魔物と妖怪が違ってくる。要は戦いに関する考えでその両者が分かれてしまうのだ。
「だから別にそんなことは」
「ないのにね」
「しかし邪悪か」
「そうだ。感じるのだ」
また仲間達に話す美女だった。
「こんなことは今まで感じたことがない」
「だとすると何なのでしょうか」
誰もが首を捻ってしまった。
「その元は」
「まだわからない。しかしだ」
「しかしなのですね」
「そうだ。まさかとは思うが我等の前にも出るかも知れない」
美女はそれを話した。
「若しかしたらな」
「髑髏天使とは別の存在ですか」
老人はここまで聞いて静かに述べた。
「私達にとって何になるかですね。それが」
「そうだ。何になるか」
美女はまた話した。
「それを見極める必要があるかも知れない」
「ええ。しかし今はね」
女が述べた。
「十人目の仲間を迎えることを考えましょう」
「迎えは誰が行く」
男が仲間達に問うた。
「誰がいいと思うか」
「誰かか」
「そう言われると」
彼の言葉に青年とロッカーが顔を向けた。
「俺が行くか」
「俺でもいいぜ」
二人が名乗り出た形となった。
「暫く見ていただけだったからな」
「楽しませてもらいたいしな」
「いや、ここは僕が行きたいけれど」
今言ったのは子供だった。
「どうかな」
「いいのではないか?」
紳士は子供についた。
「御前が行っても」
「いいんだ。じゃあそうしようかな」
それに応えた。しかしだった。
ここでまた青年が言うのだった。
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