暁 〜小説投稿サイト〜
髑髏天使
第二十六話 座天その二十三
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

「その通りよ。決してね」
「そう思うのならばだ」
「そう思っていればいい」
 こう返す死神達だった。
「だが。これでだ」
「貴様は倒れる」
「必ずだ」
「貴方が私に勝つには」
 魔物はその自信に満ちた言葉を出し続けていた。
「まずは」
「まずは」
「その楯をか」
「そうよ。破ってから言うのね」
 声だけでなく顔もであった。勝利を確信しているその笑みを浮かべていた。
 そすいてその顔で。さらに言うのであった。
「この何もかもを防ぐ楯を」
「それがわかっていてだ」
「言っているのだ」
「こうな」
 しかし死神達もこう彼女に返す。
「それではだ」
「行くぞ」
「そして決まる」
 その六人の死神達が一斉に動いてきた。
「貴様の死がだ」
「その魂、冥府に送ってやろう」
「来たわね」
 魔物もまた身構えた。勝利は確信しているが油断したわけではなかった。
 死神達は一斉に彼女に襲い掛かって来た。その鎌を繰り出し斬らんとする。
 だが鎌は全て楯に防がれる。魔物はそのうえで自らの槍を出す。
 槍を続けざまに突き出す。しかし死神達はそれをかわす。
「かわせばそれだけ」
 また笑みを浮かべる魔物であった。
「体力を使うのはわかっている筈よ」
「その通りだ」
「それはわかっている」
 わかっていると返してみせた。
「それもだ」
「そうね。貴方は今六人」
 魔物からも言ってきたのだった。
「六人分の体力を使っているわ。それだけに消耗が激しいわね」
「その通りだ。しかしだ」
「しかし?」
「それだけの価値はある」
 声が鋭いものになっていた。
「こうするだけの価値がだ」
「あるというの?」
「私は六人だ」
 またこのことを言ってみせたのである。
「六人だ。しかしだ」
「しかし?」
「今私は何人だ」
 魔物の攻撃をかわしながら彼女にまた問うてみせたのだった。
「私は何人いる」
「!?そういえば」
 言われてみてだった。彼女も気付いた。今の彼の数は。
「五人ね」
「あと一人はだ」
 こう言ったその時であった。
「ここにいるのだ」
「!?」
 後ろから出て来た。魔物のその影からだ。そうしてその大鎌で背中を斬ったのであった。
 忽ちそこから魔物の鮮血が飛び散る。勝負ありであった。
「うっ、まさかこんな」
「楯はその前しか防ぐことはできない」
 死神はまたこのことを彼女に告げた。告げながら一人に戻っていく。
「言ったな、確かに」
「こういうことだったのね」
「そうだ。私のうちの一人を忍ばせておいた」
 つまり伏兵である。
「狙っていたのだ」
「見事ね。そこまで考えていたなんて」
「最強の槍と楯を持っていてもだ」
「その隙間を狙えば」
「勝てるのだ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ