第二十六話 座天その二十二
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その中に消えてしまった。闘いがまた一つ終わった。
髑髏天使は空を舞いながらそれを見届けていた。そしてその頃もう一つの闘いもまた。
死神とイブリースは対峙している。その中で、だった。
また槍を投げてきた魔物だった。死神はまたそれをかわした。
「動きは変わらないのね」
「何度も言うが見切っている」
こう魔物に返すのだった。
「貴様の槍はな」
「そうね。けれど動きは落ちてきているわね」
「落ちてきているというのか」
「変わってはいないわ」
そう言った上でさらに言うのであった。
「それでも。速さは落ちてきているわね」
「そうだというのだな」
「そして僅かなその落ちが」
魔物の言葉に笑みが入った。
「貴方の敗北につながるわ」
「貴様は違うというのか」
「私は体力をそんなに使ってはいないわ」
だからだというのである。
「だから動きはまだ」
「落ちていないか」
「そうよ。貴方は身体全体を使ってかわしているけれど私は」
「楯を使うだけか」
「ええ」
まさにそうだというのだった。
「その通りよ」
「だからか」
「貴方の方が体力を使っている」
神である為に汗はかいていない。しかしわかるというのであった。
「それは次第に出て来るわ」
「そして貴様が勝つというのだな」
「そうよ」
声の笑みがさらに強いものになった。
「その通りよ」
「そこまで上手くいけばいいがな」
「いくわ」
それは確信している声であった。
「間違いなくね」
「そうか。貴様はそう思っているのだな」
「その通りよ。さて」
槍をまた構えてきたのであった。
「また投げるけれど」
「かわすというのだな。私が」
「そうするしかないなわね。そして貴方の攻撃は」
「いいことを教えてやる」
不意にこう告げた死神だった。
「一つな。教えておこう」
「いいこと?」
「楯が防げるのはその前だけだ」
こう言うのであった。
「横や後ろは防ぐことができない」
「それがどうしたというのかしら」
「それを告げた」
彼はまた言ったのだった。
「今確かにな。聞いたな」
「ええ、聞いたわ」
それは認める魔物であった。
「けれどそれが一体どうしたのかしら」
「見るがいい」
その言葉と共にであった。死神は身体を分けた。
六人いる。そのそれぞれの口で言ってみせたのであった。
「貴様は確かに強い」
「それは認める」
「しかしだ」
そのそれぞれの死神の言葉である。
「一人でしかない」
「だとすれば勝てる」
「一人ならばな」
「六人に分かれたのは見事よ」
魔物はその死神の分け身を見ても動じたところはなかった。
「それはね。けれど」
「けれどか」
「貴様の勝利は揺るがないという
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