第二十六話 座天その二十一
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「面白いわね」
「面白いというのだな」
「ええ、闘いがいが本当にあるわ」
そしてまた言った。
「実にね」
「そう思うなら来るのだな」
「言われずともね。行かせてもらうわ」
言いながらまた鎌ィ足を放ってきた。今度は幾つもであった。
それがそれぞれ髑髏天使を襲う。しかしここでその力を使う彼だった。
右手の剣を前に繰り出した。剣の先から雷を放つ。一直線に飛ぶその雷は忽ちのうちにその幾つも出て来ていた雷を消し去ってしまったのである。
まさに一瞬だった。その雷を見て魔物も。声を変えた。
「凄いわね」
「これが雷の力か」
髑髏天使もはじめて使ったその力に対して声をあげた。
「見事なものだ」
「その力で私を倒すというのね」
「そうなるな。では行くぞ」
「では倒してみるのね」
その力を見ても臆することはない。やはり彼女は魔物だった。
そして突っ込んで来た。今度も一直線だ。
「来たか」
「死ぬのね」
言いながらまた鎌を振ろうとする。髑髏天使はそれを冷静に見ている。
そのうえで再び剣を前に突き出した。するとだった。
再び黄色い雷が放たれた。それが一気に魔物を貫いてしまった。
額を完全に貫いていた。それを受けた彼女は動きを完全に止めてしまったのだった。
「ぐっ・・・・・・」
「勝負ありだな」
ここで言ったのだった。
「これでな」
「見事よ」
額を貫かれはした。しかしまだ生きていた。
その最後の力であった。魔物は彼に告げるのだった。
「やはり貴方は」
「何だというのだ?」
「見事な戦士ね」
こう言うのである。
「最高の髑髏天使よ」
「そうか」
「まるで人間じゃないみたい」
そしてこんなことも言うのだった。
「私達に近いものがあるわ」
「貴様等にか」
「ええ。そうよ」
魔物はまた彼に告げた。
「その通りよ」
「戯言を言うのだな」
「戯言かどうかはやがてわかるわ。ただ」
「ただ。何だ?」
「私を倒したのは事実よ」
それは間違いないというのである。
「このがしゃどくろをね」
「それははっきりとわかる」
髑髏天使もそれに応える。
「だが」
「だが?」
「俺は人間だ」
このことは自分でも不思議だったが妙にこだわるものがあった。あえて自分の口から言わずにはいられなかった。どうしてもであった。
「それは言っておく」
「そうなの」
「そうだ。では去るといい」
「ええ。そうさせてもらうわ」
ここでその全身を青白い炎が包んできた。
「これでね」
「座天使の力、雷の力か」
「あと二つよ」
魔物はその炎の中でまた彼に言ってきた。
「わかるわね」
「それで俺はどうなるのか」
「私は残念だがそれを見ることはできないわ」
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