第二十六話 座天その十七
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「それではだ」
「どうするのかしら」
「髑髏天使に変わらせてもらおう」
言いながらその両手をゆっくりと動かしてきた。そうしてそれぞれ拳にする。
その拳を胸の前で打ち合わせる。するとそこから白い光が放たれその中で牧村から髑髏天使の異形の姿へとなるのだった。
「行くぞ」
髑髏天使の姿になると右手を少し前に出して握り締めてみせる。これが合図となった。
すぐに両手に剣を出す。そして主天使の姿になった。
天高く飛び左手の剣を一閃させる。そこから無数の岩石を出して魔物に襲わせた。
「岩なのね」
「これがこの天使の力だ」
岩を放ったうえでの言葉だった。
「これをどうかわす」
「かわす、ね」
「その巨体でどうかわすつもりだ」
「確かに私の身体は大きいわ」
髑髏天使を見上げている。骸骨と蟷螂が合わさったその身体は見れば見る程不気味であり恐れを抱かせるに充分のものであった。
「それはね。けれど」
「けれど。何だ?」
「だからといって何もできないというわけではないわよ」
こう言ってみせてきたのである。
「ただし。かわしはしないわ」
「かわさないというのか」
「そうよ。だって」
自らに降り注ぐその岩達を見上げながらの言葉であった。
「その必要がないから」
「必要がないというのか」
「こうすればいいだけだから」
右手のその鎌を上げてきた。そうして複数振り回す。
するとであった。髑髏天使が今出した岩達は全て細かく切られてしまった。それによって何の効果もないものになってしまったのであった。
ただの塵になってしまった岩達を見ながら。魔物は表情が無い筈の髑髏の顔に笑みを浮かべさせたうえで。こう言ってみせたのである。
「どうかしら」
「見事と言って欲しいのか」
「女性を褒めるのは殿方の嗜みではなくて?」
「俺の流儀ではない」
この辺りは牧村のままであった。
「そういうことはしない」
「あら、風流がわかっていないわね」
「少なくとも貴様に見せるつもりはない」
やはりいつもの牧村だった。
「それだけだ」
「つれないわね。けれどいいわ」
やはりその髑髏の顔は笑っているように見えた。
「それならね」
「ならいいな」
「ええ。それなら」
言いながらであった。
今度は左手の鎌を一閃させてきた。そのうえで鎌ィ足を出してきたのである。
鎌ィ足は一直線に髑髏天使に襲い掛かる。下から上に、であった。
「どうかしら、これは」
「鎌ィ足か」
「貴方も使っていたわね」
放ったうえで彼に問うてみせてきた。
「そうだったわね」
「それはその通りだ」
このことを認めるのであった。
「風の力としてだ」
「だったらどうするのかしら」
「風の力はわかっている」
髑髏天使
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