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髑髏天使
第四話 改造その五
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「あるといえばあるな」
「じゃあテニス部も入ってみる?」
「テニス部もか」
「掛け持ちしても別にいいわよね」
「そうだな。時間的にはな」
 問題はなかった。大学生は高校までと比べて時間的にかなり余裕がある。だから掛け持ちをしても別に問題はないのであった。これは牧村にもわかった。
「ないな」
「じゃあどう?」
 あらためて牧村を誘う。
「テニス部。私もいるしね」
「わかった。じゃあ考えてみる」
「答えはできるだけ早いうちにね。それにしても」
「それにしても。何だ?」
「来期君高校じゃ陸上部一直線だったのに」
 彼は高校まで陸上部にいた。若奈は高校から彼と一緒だからこのことを知っているのだ。
「今は複数掛け持ちなのね。変わったわね」
「悪いのか?それは」
「悪いって聞かれたら違うわね」
 それはそうではないと答えた若奈だった。
「別にね」
「どちらも大事になってくるな」
 牧村は髑髏天使としての考えにまた入っていた。
「これからな。余計に」
「フェシングとテニスが?」
「そうだ。勝つ為に」
 完全に髑髏天使になっていた。
「俺はやる。どちらもな」
「勝つ、ねえ」
 当然ながら事情を知らない若奈にとっては今の彼の気合の入りようは少し不自然にも思えた。しかしそれはあくまで彼が熱中しているからだと思ってその考えに基いてまた言うのだった。
「随分と熱中しているのね、スポーツに」
「んっ!?スポーツか」
「どちらもスポーツじゃない」
 やはりここでも若奈の考えは彼がスポーツに熱中しているというものだった。
「だからよ。まあ何かに熱中できることはいいことだし」
「熱中か」
 ここで髑髏天使から牧村来期の考えに戻るのだった。
「俺は熱中しているんだな」
「他の何だって言われたら困る位にね」
「そうか、わかった」 
 まずは頷く牧村だった。
「それはな。むしろ熱中するだけでないと身に着かない」
「本当に燃えてるわね、今の牧村君って」
 実はこれに関しては若奈にとっては意外なことだった。何かにつけ無表情で無愛想な彼だからだ。それを知っている彼女にとってはやはり意外なのである。
「珍しいわね、本当に」
「そうか」
「まあとにかく。テニスもするのね」
「ああ」
「わかったわ。じゃあ今日の四限が終わった後でね」
 若奈の方で時間を指定してきた。
「テニス部の部室に来て。歓迎するわ」
「頼む」
 こうして彼はテニスもすることになった。この話はこれで終わりまずその部活に行く前に博士の研究室に顔を出しに向かった。しかしその研究室のある建物の前でもう博士が待っているのだった。
「おお、丁度いいタイミングじゃな」
「できたのか」
「これじゃ」
 見れば彼のすぐ側にサイドカーがあった。
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