暁 〜小説投稿サイト〜
髑髏天使
第二十六話 座天その十三

[8]前話 [2]次話

「今はだ」
「おや、何故でしょうか」 
 老人は今の牧村の言葉を受けてすぐに問うてきた。
「死は必ず来るのですからいいのではないですか?」
「そうだ。それで何故そんなことを言う」
 老人だけでなく美女もこのことを問うのだった。
「遠慮することはないのだぞ」
「俺が死ぬ時は今ではないということだ」
 このことをまた言うのだった。
「少なくとも貴様等との戦いで死ぬつもりはない」
「だからですか」
「今ではないと」
「そうだ。俺は戦いでは死なない」
 語る言葉が強く確かなものになっていた。
「決してな」
「では。話は決まりですね」
「ここで私達と戦うのだな」
「来い」
 二柱の魔神達を見据えながら告げる。
「両方相手をしてもいい」
「いえ、そうはいきません」
 今の牧村の言葉をその穏やかな笑顔で否定した老人だった。
「そういうわけにはです」
「ではいつも通りか」
「はい、貴方のお相手は私の手の者が務めましょう」
 こう申し出るのだった。
「それで宜しいでしょうか」
「俺としては相手はどちらでも構わない」
「左様ですか」
「倒すだけだ」
 言葉に剣が宿った。
「それだけだ」
「わかりました。では貴方には私が」
「私の相手は死神か」
「そうなるな」
 死神は今の美女の言葉に返してみせた。
「不服という言葉は言わせはしない」
「安心しろ、そんな野暮なことを言うつもりはない」
 美女もそうしたことを言うつもりは毛頭なかった。
「ただ。楽しませてもらうだけだ」
「それだけか」
「そうだ。それではだ」
 魔神の目が赤く光った。するとだった。
「この者を出そう」
「それは」
 出て来たのは。黒い目をした女であった。その姿はアフリカのある部族の服装そのままであった。
 それだけ見れば人間に見える。しかし全身から放たれる気配がそうではないと告げていた。
「イブリースだ」
「アフリカにもいたのか」
「そうだ。私の配下でもある」
 こう死神に告げる美女だった。
「そのことは知らなかったのだな」
「その魔物の名前は知っていた」
 このことにはすぐに答える死神だった。
「だが。貴様の配下だったとはな」
「あの世に戻る前に教えておいておく」
 また死神に告げる美女だった。
「そしてそのまま永遠に帰っては来ない」
「その魔物が私を倒すというのだな」
「その通りだ。ではイブリースよ」
「はい」
 まるで人形の様な声で美女に応える魔物であった。
「死神を倒すのだ」
「わかりました」
「それではだ」
 死神は両者の話を受けてであった。まずは目玉に告げた。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ