SAO編
十七話 あれは所謂──
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「ま、確かにな。なんか買ってこようか?」
「ものすごくお願いします」
本気で懇願する眼でキリトは俺を見つめる。恐らく朝から付きっきりだった所を見るに、昼飯も食べていないのだろう。
そんな事なら呼び出してくれても良かったのだが、何とも遠慮深い事だ。
苦笑しながら俺は屋台からホットドック(っぽい)を三本(俺1義弟2)を買って義弟の元に戻った。
────
ホットドックを食べ終わり、アスナの顔を見ながらぼーっと座っていると不意に、キリトが小さな声で何事かを嘆いた。
「ん?なんだって?」
「あ、いや……何でも無い」
「そか?」
何も隠す事も無いと思うが……「疲れてるんだろうな」か。
まぁ、この義弟も数カ月前まではアスナと同じような状態だったのだ。
恐らく、今この娘がどういう状態なのか、身をもって分かっているのだろう。
キリトは事情を知らないだろうが実際、最近……いや、或いはこのデスゲームが始まってから今日までの間に。この少女がこれだけしっかりとした睡眠をとった事があったのだろうか?
あの夜、アスナが寝たのはたった三時間少しだけだ。
もしも、これまでもアスナが毎日その程度しか寝てないのだとしたら、恐らく本人が思っている以上に疲労は蓄積しているだろう。
肉体的にも精神的にも。
それこそアイツの──「くしゅんっ」
物思いにふけっていた俺達の横で、小さなくしゃみの音が響いた。
どうやら、騎士姫様がお眼覚めになったらしい。
「……うにゅ……」
言語では無い言語を放ちつつ、眼をうっすらと開けるアスナ。
横に居たキリトは、顔を覗き込むように胡坐をかいて座っている。
取りあえず眼を開けたアスナはまばたきしながらキリトの事を見止めると、眉をひそめ、次に右手で上体を起こし、周囲を髪を揺らしつつ見回す。右、左、右。
最後にもう一度キリトの顔と、ついでにその後ろで笑っている(多分心底面白がっている顔で)俺を見ると……
透明感のある白い肌を、瞬時に赤く染め(完全に羞恥)、やや青ざめさせ(動揺+苦慮)、最後にもう一度赤くした(更なる羞恥+激怒)。
眼を見てて分かるが、まぁ、一つ一つの感情の大きい事大きい事。
「な……アン……どう……」
また言語では無い言語になっているが、まぁあえて無理矢理訳すなら、
「なんで、アンタ、どうして」と言った所ではなかろうか?
「おはよう。よく眠れた?」
とびっきりの笑顔でそうのたまったキリトの後ろで、俺は笑いをこらえるのが物すごく大変だった事を、此処に追記しておくとしよう。
──いや本当に
さて、それから後、俺達三人は色々あって、面倒な事件に巻き込まれたり、その過程でおれの古い友人に出会ったりと色々あった訳だが、まぁそれらは割合しよ
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