SAO編
十六話 悪夢と夜明け
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理解はしていても、羞恥や怒りが邪魔をして納得は出来ていない。
顔を赤くしてぶつぶつと何事かをぼやいているアスナに、突然リョウがそれまで面倒くさげだった顔を引き締めて訪ねてくる。
「で?何だあの悲鳴?正直、常軌を逸してたぞあれは」
一瞬、驚いた。
自分が夢の中で上げている悲鳴を現実にも上げているとは思わなかったからだ。
意外にもこの世界に置いても夢の中の出来事は現実の身体にも影響するらしい。しかも、目の前のリョウの口調を見るに相当。
本当に、何で今日に限って……そんな考えが頭によぎったが、表面上は出来る限り冷静に答える。
「……別に、悪い夢を見ただけです」
「ふーん?……さよか。」
さらりとした物言いに、もう少し追求されるかと覚悟していたアスナは内心安堵した。
その感情を見透かされた訳ではないだろうが、話題をずらしてリョウは続ける。
「まぁ、取りあえず水を飲め。あんだけ叫んだんだ。喉、渇いてるだろう?」
「あ……いただきます」
今更ながら、自分の喉にガラガラとした違和感を覚えたアスナは、先程とは違い今度は素直に応じる。
よし、と言う声と共に、リョウはレアアイテムだと言う無限液体ポットからアイスティーを銀色のコップに注ぎ始めた。
少々リョウに自分勝手な印象のあったアスナだったが、気遣いを受けたせいか、幾らかこの青年に対して印象を回復させる。
思えば、夢の中で聞いた声はきっとリョウの物だったのだろう。悲鳴を上げていた自分を、心配してくれたのだろうか……?
聞くのもなんとなく恥ずかしいので、黙ったままアスナはそんな事を考える。
『嫌なだけの人じゃないかな、無愛想だけど』
差し出されたカップを受け取りつつ、アスナはそう、リョウに対する結論を付けたのだった
──────
暫く黙ってカップを傾けていた二人だったが、不意に、リョウがのんびりとした調子で口を開く。
「そういやさぁ……副団長さんって、攻略休みのとき何してんの?」
「……特に何も」
痛い所を突かれたと言うか、答えずらい質問だ。
アスナは基本的に、攻略を休んだりそれと関係無い事をする。と言う事が少ない。
というか、殆ど無い。
その旨をリョウに伝えると……
「んじゃ、フレンドもいねぇのか?それ悲しくね?」
「いや、そう言う事じゃ……」
一応フレンドは居る。
だがその殆どは、他ギルドの連絡担当者や軍関係者、情報屋等、攻略やギルドの仕事に関係する人物たちであり、連絡用に登録しているだけだ。大して親交がある訳ではない。
無論親交のある友人もいる(男は居ないが)特に、自らの大事な装備を全て任せるために、信頼のおける人物を探しまわった結果知り合った鍛冶屋の少女とは仲が良く、偶に買い物に行ったりもする
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