SAO編
十六話 悪夢と夜明け
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つぶされそうな一人ぼっちの少女の叫び。
『いやああああああああぁぁあああああああぁぁあああああああああああああああああぁああああああああああああ!!!!!』
止めようも無く上がる叫び声に身体が呼応するように、なにも無い虚空にアスナは手を伸ばし、ありもしないのにそこにある希望を掻き集めようとするかのように暗闇を掻きむしる。
『ああああああぁああああぁぁああぁああああ『……い!』ああああああああぁ『……い!…ら!』あああっああああぁっ!『…きろ!……スナ!!』』
唐突に、何かが聞こえた。
誰かの声だろうか?
何でもいい、この叫びを止めてくれるなら、今は誰でもいい何でもいい!
アスナは必死に音のする方に向かって手を伸ばす。
そして何かを掴んだ、と思った瞬間、視界に光がはじけた。
──────
「はっ、はっ、はあ……」
視界の中に映る物がなんなのか、アスナはおぼろげな意識のせいかよく理解できなかった。
息は途切れ途切れで、汗のべたべたとした不快感が全身の表面に張り付いている。
またこれか、と思いつつ、徐々に頭が五感の感覚から得た情報を整理していく。
視界に映る緑色は森の木々の色、そうだ。
自分は今日、狩場の安地で寝ることになって……それで……
「おーい、落ち着いたか?」
「はぁ……は?」
急に耳元で春せられた声に、妙な声を上げてしまう。
それに伴い自分の今の状態への理解が進む。
そう言えば、視界がいつも起きた時より少し高い様な……それにこの身体を包んでいる温もりは何だろう?
「落ち着いたらでいいから離してくれんか?圧迫されてる。」
完全に理解した時、恐らくアスナの顔は真っ赤になっていただろう。
今、アスナは、フィールドで出会い、同じ安地で寝る事となったリョウと言う青年の身体に抱きつく形になっていたのである。
「き……」
「き?」。
尋ねる様に首を傾げるリョウ。
関係無く、先程の夢の中と同じように意識と関係なくアスナは声を上げていた。ただし先程とはだいぶ、違う意味で。
「きゃああああああ!!!!」
まだ暗い森に、少女の悲鳴が木霊した。
二十八話
「で?理解したか?」
「すみませんでした。」
事情の説明を終え、腕を組んで首を傾げるリョウに、アスナはそう謝罪した。
と言うのも、自分から抱きついた(らしい)リョウから意識を取り戻して離れる時、ハラスメント通報をするのも忘れて飛び退き、レイピアを引き抜いてリョウの説得も聴かずに武器を振り回して(全部回避された)リョウの震脚で転ばされ、武器を取り落としてそれをリョウに弾かれ、レイピアが遠くに転がった所でようやくリョウの主張を聞いたのだ。
ただし、自分の側に全面的な責任があると頭で
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