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SAO─戦士達の物語
SAO編
十六話 悪夢と夜明け
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なものは悩むほど重大じゃなくて、もっと大きくて素晴らしい目標のために日々邁進し歩いて行く。そういう日常。

 私はそれに満足しているつもりだし、そもそも他の世界なんて考えた事も無ければ夢見た事も無いはずだ。
母は、貴女は普通の人間より特別なんだと何時も行っていた。
才能もあるし、この道を歩んでいけば必ず正しく幸せな人生になると。

 そう言った母や、既に成功を手にした父や兄達。
周りの期待にこたえるために生きて行く。
これまでもそうだったし、これからもそれは変わらないと、そう思っていた。なのに、


──気が付くと自分は、檻に閉じ込められていた。


 それは天空の、何処までも遠い空の中にある鋼鉄の檻。
SAOと言う名の、電子で出来た、絶対の檻。
外に手を伸ばそうとしても、それは決して届く事は無く、誰も助けてはくれない。

 檻の外では、両親や家族や親類やクラスメイト達が、自分の事を憐れむような目で見つめている。
助けを求めても外からは何も手を出す事が出来ず、その内にかつての競争相手だったクラスメイトや同学年の人間、従兄妹達は自分の事を憐れみつつも何処か嘲笑うような視線を向けて立ち去って行く。
その後に親類の叔父や叔母たちも続き、最後には兄や父、母も自分のもとから離れていく。

私の築いてきた日常が、世界が、私が生きるべき道が、コワレテシマウ…………

『待って!お父さん!お母さん!』
 見捨てられる事を恐れ、必死にそう叫ぼうとしても声は出ず、どんどん皆の背中は遠いものになって行く──

『待って!置いて行かないで!!助けて!』
 叫ぼうと母たちが振り向く事は無い。
それどころかどんどん離れていき、私の周りにあった青空も自分の後ろから迫って来た暗闇にのまれ始め、母達の居る場所はどんどんと遠く、小さな光の点となって行く……

──何故?

普段の自分の夢は、こんな、全てが自分から離れていくような夢ではないはずだ。
少なくとも両親は、自分をベットの傍で表情が見えないながらも見下ろしている。
その表情が心配である事がアスナの持つ一つの希望の光でもあった。
……なのに、何故今日はこんな夢を見る?
まさか、両親は自分の事をもう……

 そしてついに、自分の周囲が暗闇にのまれた。
私の……結城明日奈と言う人間の世界が完全に消えてしまったと。アスナにはそう感じられた。

 後に残ったのは孤独、孤立、恐怖、空虚……絶望
ある意味では、当然だ。
これまで生きて来た道以外に生きる道を知らないアスナにとって、その道が消える事は、死ぬことほぼ同義と言っても過言では無いのだから。

『……や……い…あああ……』
 気が付くと、自分の意思とは関係なく声が漏れていた。
それは、絶望と恐怖に押し
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