第二十五話 魔竜その二十三
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彼等の数は尽きない。そうして髑髏天使は次第に疲労が蓄積されていく。ここに夢魔の狙いがあることは明らかであった。
「疲れてきたわね」
「気のせいだ」
「その言葉が何よりの証拠よ」
強がりなのを見越しての言葉である。
「言わなくてもわかるわ」
「ふん」
「さて。まだよ」
ここでまた魔物達を出して来た。それは無数に世界の中に浮かんでいた。立つ場所がなく誰もがその世界の中に浮かんでいるのだ。
「まだまだ出せるのよ」
「出しているのは」
「そうよ。私よ」
紛れもなく彼女だというのである。
「私が出しているのよ。この子達をね」
「そうか」
それを聞いてであった。髑髏天使の目の色が変わった。そうして構えなおした。丁度今周りにいた魔物達は全て切り伏せて消していた。切ると紙の様に裂け消えていくのだ。
「これで俺の勝利は決まった」
「貴方の勝利が決まったですって?」
「その通りだ。今それを見せよう」
それぞれ剣を持つその両手をクロスさせている構えであった。
「今からな」
「何をするつもりかしら」
「それもすぐにわかる」
今は言おうとしなかった。
「今な」
「?何を考えているのかしら」
魔物は彼のその言葉を聞いてまずは首を右に傾げさせた。
「一体何を」
「すぐにわかる」
やはり構えてこう言うだけである。そしてだった。
右手に持つその剣が変わった。ダイアにだ。
「ダイアの剣」
「この世で最も硬いものだ」
このことも告げるのだった。
「そしてこれを」
「これを?」
「受けろっ」
今の言葉と共に魔物に対して投げた。それで全てが終わった。
剣は一直線に飛び魔物の胸を貫いた。その速さは勝利を確信し安心しきっていた彼女が避けられるものではなかった。まさに一撃であった。
胸を貫かれてだった。魔物は驚愕の顔になった。そうして言うのであった。
「まさか。そんな」
「何を驚いている」
その魔物に対しての言葉である。
「この世界は貴様のものだったな」
「ええ」
「それならばだ」
髑髏天使は言うのだった。
「貴様を倒せばそれで済む話だ」
「だから私に対して」
「話は時として単純に考えてもいいのだ」
これは確かに一つの真理だった。それをよくわかっていたのだ。
「答えは複雑とは限らない」
「そうね。それは確かね」
「俺の勝ちだ」
そして単純に言った。
「それは認めるな」
「ええ。こうなってはね」
魔物は青白い炎に包まれてきていた。それで認めないわけにはいかなかった。
「認めるしかないわね」
「では死ぬがいい」
魔物に対してその死を告げた。
「そのままな」
「この時代の髑髏天使は凄いわね」
魔物は青白い炎に全身を覆われながら今の言葉を出した
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