第二十五話 魔竜その二十一
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「こうしてだ。姿を見せることができるのだ」
「分け身を貴様も」
「使えたか」
「これで同じだ」
魔物と同じだというのである。
「貴様とな。それでだ」
「来るのか」
「貴様は力で来る」
魔物の性質はわかっていた。その巨体から来る力で攻める。それがわかっているというのだ。それを実際に言葉にも出してみせる。
「それならばだ」
「どうするというのだ?」
「何で来るというつもりだ」
「一体」
「技だ」
それだと。一言で告げてみせた。
それと共に両手に持つ大鎌をそれぞれ構える。全ての死神達がその鎌を投げた。
鎌はそれぞれ回転しながら宙に舞う。そのうえで巨人達を切り裂いていく。
中には握り潰される死神もいた。踏み潰され地面に叩き付けられるものもだ。だが鎌達はそれぞれ縦横無尽に動きブーメランの様に戻る。そうして魔物を一体、また一体と切り裂いていくのであった。
「これでは」
「死神も我等も」
「やられていく」
「お互いに」
サッシーのそれぞれの口での言葉である。
「まずいぞ、このままでは」
「倒されるのは我々だ」
「早いうちに死神達を全て倒さなければ」
「こうした闘い方もある」
死神のうちの一体が宙に浮かんだままで述べた。
「こうしたものもな」
「まさか分け身を行ったうえで」
「鎌を一斉に放って来るとは」
「そう来たのか」
「さて、どうする」
あらためて魔物に問うてみせてきたのだった。
「私を全て倒すか。それとも鎌に切られるか」
「答えは一つだ」
「倒す」
魔物が選んだ答えはこれだった。これしかなかった。
「それは言っておこう」
「貴様達を全て倒す」
「面白い言葉だ」
その言葉を聞いて受けはした死神だった。
「それではだ。私も貴様の身体を全てだ」
「倒すというのか」
「我等を」
言っているうちにも闘いは続いている。巨人達は跳ね続けている。だが一体、また一体と鎌に切り裂かれ赤い炎となって消えていく。
死神も一体ずつ潰され踏まれていく。その都度その死神が消えていく。しかし鎌は残っている。その数は減ってはいなかった。
「私を全て消せば鎌も全て消える」
「それまでは残る」
「そういうことか」
「その通りだ」
まさにそうだというのだった。
「さて、どうする?」
「どうするもこうするもない」
「我々にやるべきことは一つしかないからな」
「貴様を全て倒す」
ここでも出される答えはこれしかなかった。
「いいな、これでだ」
「我等の手で」
襲撃を仕掛け続ける。確かに死神の数は減っていく。だが巨人の数も次々に減り残ったのは。
最後の巨人の身体が回転する鎌に貫かれる。残った死神は一体であった。結果としてこれで勝利者が決まったのであった。
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