第二十五話 魔竜その二十
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「何時までもな」
「下でかわす必要はない」
だが死神は巨人に対してこう告げてみせた。
「下にいることもない」
「空か」
「そこか」
また複数の口からの言葉であった。
「そこから来るというのか」
「今度は」
「如何にも」
その言葉と共にであった。巨人の一体の頭上に死神が姿を現わした。そしてその巨人の脳天に大鎌を一閃させてみせたのであった。
すると巨人は赤い炎に包まれその中に消えた。彼は巨人達のうちの一体をこれで倒したのである。
「こうすればいいのだからな」
「そうだったな。貴様は空も飛べたのだ」
「そうだ」
まさにその通りだと答える死神だった。宙に浮いたままで。
「これでよくわかったな」
「我がうちの一体を倒すとはな」
「噂通りか」
「噂は噂だ」
今度は己の頭上まで跳んできた魔物の一体を見上げながらの言葉である。
「あくまでな」
「というとだ」
「何かあるのか、まだ」
「見せてやろう」
言いながらその上から来た魔物にだ。手に持っている大鎌を投げる。放たれた大鎌は横に激しく回転しながら。魔物を下から両断してしまった。
そのうえでブーメランの様に戻り死神の手に帰る。両断された魔物の身体は赤い炎に包まれその中に消えていくのであった。
「こうすることもできる」
「鎌を投げたか」
「しかもそうやってだというのか」
「そういうことだ。私もまた髑髏天使と同じなのだ」
彼と、というのだった。
「闘えば闘うだけ強くなっていくのだ」
「闘えばそれだけか」
「強くなるのか」
「以前はこうした技は持っていなかった」
こうも言うのだった。
「だが。今はだ」
「使えるのだな」
「今の様に」
「如何にも」
その通りだと答えてみせもする。
「さあ、その私を倒せるか」
「そうしてみせよう」
「望むままにな」
そうするとだった。今度は一斉に彼に襲い掛かって来た。またしても跳ねながら。
上からも下からも襲い掛かる。上からは踏み潰さんと。下からは握り潰さんと。それぞれ一本足と両手で彼に襲い掛かって来たのであった。
「さて、死神よ」
「一体ずつならともかく」
「この数だ」
「どうする?」
「数で来たか」
それを見てまずはこう呟いただけの死神であった。
「数で一斉にか」
「数は力だ」
「それは貴様も知っているだろう」
「その通りだ」
死神もそれは否定しない。はっきりと答えてみせる。
「しかしだ」
「しかし?」
「何か言いたいことがあるのだな」
「私は言葉で出す必要はない」
そして次にはこう言ってみせる。そうしてさらに言葉を続けていく。
「何故ならばだ。数で来るとなると」
「まさか」
「貴様も」
「同じだというのか」
「知らなかったようだ
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