第二十五話 魔竜その十八
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「思う存分ね」
「そうか。では」
「はじめましょう」
その言葉と共にだった。少女の背中に翼が生えた。禍々しい蝙蝠の翼であった。
「貴様は何だ」
その翼を生やした少女に再び問う牧村だった。
「その姿は何だ」
「私は夢魔」
白いドレスはそのままだった。ただ翼を生やしてから言うのであった。
「夢の中で闘う魔物」
「夢か」
「さあ髑髏天使」
こう名乗ったうえでまた彼に声をかけてきた。
「どうするのかしら」
「俺は闘うだけだ」
牧村は既に髑髏天使の言葉を出していた。
「それだけだ」
「では来るのね」
「そうだ。では」
その言葉共にだった。まずは両手を拳にした。
そしてその拳を胸の前で打ち合わせた。そこから白い光が放たれる。
光が全身を包みそこから姿を現わしたのは。あの異形の天使であった。
「行くぞ」
また右手を少し前に出して一旦開いてから握り締める。これが合図になった。
魔物は彼が髑髏天使になったのを見届けてから。こう言ってきた。
「それじゃあ」
「その夢の世界にか」
「誘ってあげるわ」
言いながら微笑んでいた。
「さあ、楽しい夢の世界に」
「行ってやろう」
二人の姿は自然に消えた。そうして死神も今己の右手を拳にした。それを胸の前にやると彼もまた青白い光に包まれたのだった。
それが消えるとあの闘う姿になっていた。その姿で右手に持っている大鎌を一閃させてそれから彼の相手に対して言ってみせた。
「私はこれでいい」
「準備はできたか」
「見ての通りだ」
これが返答であった。
「さあいいな」
「いいだろう。それではだ」
男の姿が変わった。巨大な姿になる。六メートルはあるだろうか。ただ足は一本だけしか生えていない。一本足の巨大な男にその姿を変えてきたのである。
「相手をしよう」
「それが貴様の正体か」
「巨人サッシー」
彼は名乗ってきた。
「それがこの俺だ」
「そうか。それではだ」
「来い」
死神に対する言葉であった。
「闘おう」
「では。私はだ」
美女はここでまで見届けてだった。去ろうとしだした。その中で紳士に対して声をかけた。
「何処か楽しい場所はあるか」
「酒は好きだったな」
声をかけられた紳士が美女に問うたのはこのことだった。
「そうだったな」
「酒はいい」
その美女の返答である。
「あれ程美味なものはない」
「ではいいな。行くとしよう」
「うむ。それではだ」
「はい」
主の言葉に応える魔物であった。
「ここはお任せ下さい」
「そうさせてもらうぞ。それではな」
「はい、それでは」
美女と紳士も姿を消した。後に残ったのは魔物と死神だけであった。魔物はその彼に向き直りそのうえで言ってきたのであった
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