SAO編
十五話 夜の森で出会う
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つ、一気に駆け出した俺は、すぐにアスナの居る広場へと到達する。
変わる代わる仕掛けて来る五匹に囲まれ、木を背にして身動きがうまく取れないでいるアスナの正面に位置するウルフに狙いを定めて跳躍。
またしても現れた乱入者に驚いた顔を見せるアスナの事はほおっておいて、空中で得物である、冷裂《れいれつ》を一回転させ、その切っ先を未だこちらに気が付いていないウルフの頭に向けながら重力に従って俺の身体は落ち、ついでに振り下ろす。
「覇ァ!!」
轟音、と共に土煙が上がり、周囲のウルフがたじろいだように飛び退く。
急所部位《クリティカルポイント》である頭を貫かれたウルフは、そのままポリゴンとなって四散。
地面から冷裂を引き抜いた俺は構えながらアスナの斜め前に立って話しかける。
「助太刀する。かまいませんな?」
少し戸惑ってその後迷ったような表情を見せつつもアスナが頷くのを確認した俺は、「左をやる」とだけ告げて、こちらを未だに睨む左側のウルフ二体へと突っ込んだ。
────
ぺこり。と、目の前の少女は頭を下げ、俺も同じく頭を上げる。
これが助け、助けられた時の上層部での基本的な礼儀だ。
いちいちありがとうだの何だのと言う挨拶は無い。
ただ頭を下げるだけ。
助けた側は、いちいち例など求めないし、
助けられた方も、大概は短く礼を言うか、無言化のどちらかだ。
最前線と言う常に死が付きまとう状況下では、フィールド上の助力などお互いさま。という暗黙の了解があるからだ。
終了後は無言で戦闘処理を終えて次へ。
それが自身を護り、強さを維持していくために、効率的で合理的な事にのみ目線を向けた攻略組と言う人種なのだ。
俺はそのまま安地に向かおうとする。こんな時間だ。当然、アスナも同じだと思ったのだが……あろうことかまた森の奥に行こうとしやがった此奴!
「おい、ちょい待ち閃光の騎士姫さん?」
「なんですか?」
威圧するような目線で此方を見て、否、睨んでくる。
軽く呆れが入っているのは多分呼び方のせいだ。
仮にも助けた相手に向ける視線かそれが。俺が遅刻魔だからか?風紀委員みたいなやつだし根に持つタイプなのか?……嫌、そうではなく。
「あんたまだ狩りを続けるつもりか?」
「そうですけど何なんですか?」
「止めとけ。今の戦闘で解ったはずだ。あんたの力で此処の一人はきつい。つーかさっきの顔から察するに、夜ここに来るのは始めてだろ?騎士姫さん?」
実際、あいつ等《ハイド・ウルフ》の経験値が高いのは最近分かった事だ。知らなくてもおかしくない。
「……前から言おうと思ってたんですけど、その呼び方止めて下さい。」
「何で?」
「……止めて」
「……はいはい、で?」
「……確かに危なかったのは
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