SAO編
十五話 夜の森で出会う
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が俺とそう変わらない少女であったと言う事。
そう、言うまでも無く、ギルド[血盟騎士団]の副団長。騎士姫さんことアスナである。
「あいつ、こんな時間に狩りやってんのか?」
そんな事を思いつつ観察を続ける。
《閃光》の名を持つアスナだが、俺は彼女がソロで対モンスターの狩りをしている所を見た事は無かった。
まぁ……流石と言うべきか、アスナの立ち周りは正直見事な物だったと言えよう。
二体のウルフの噛み付きや爪の一撃。突進を、バックステップやサイドステップでひらりひらりと回避。直後、異常とも言うべき敏捷度から繰り出される神速の突き技や切り払いが、的確に相手の身体を捉えていく。正に一方的な攻撃。
しかも怖い事に、それをするアスナはこの上なく冷静沈着で、技も最早機械的ともいえる物なのだ。
あんな冷徹な攻撃を繰り返されようものなら、相手が並みのプレイヤーであればとっくに恐慌をきたし、無茶苦茶に剣を振り回すかなんかして訳も解らずやられるだろう。
そして何より……
「閃光……か」
その戦いには美しさがあった。
圧倒的な速さから描き出される白の軌跡と、アスナの舞う動きに合わせて踊る戦闘服《ドレス》。
それらが、元々きれいな顔立ちをしたアスナをより映えさせて見せ、実に美しい。
正に今、あの戦場は彼女の領域《ステージ》なのだと、誰も言わずとも分かる。そんな闘いだった。
まぁなんにせよ、このままいけばあっという間にアスナの勝利だ。その後のんびりと安地へ行けばいい。
面白いものが見れた事に俺は得をした気分になった。
が、……その時、これまで端役に過ぎない存在だった黒い獣が、思わぬ反撃を見せた。
突然それまで仲間の後ろにいたウルフが入れ替わるように前へと出て、バックステップで下がったもう片方のウルフが、天高くへと吠え声を上げたのだ。
「遠吠えか?……っておいおい!」
驚いた声を上げた俺だが、仕方ないと思う。
なぜなら、突然アスナの後ろの茂みから、新たな《ハイド・ウルフ》が三匹出現したからだ。
何度か奴等とは戦闘をした事があるが、あんな技は初めて見た。夜専用の特殊技か?
いずれにせよ、それまでテンポ良く立ち回っていたアスナのステップが突然の事態に大きく乱れる。
五対一という、圧倒的不利な状況に突然追い込まれてしまったのだから当然だろう。
彼女の眼に、明らかな戸惑いと焦りの光が浮かぶ。
一応なりとも此処は上層階なのだ。あいつ等の体力もあれだけ数が居れば馬鹿には出来ない。俺から見ても、あれはまずい。
「つーかまたこんなのか!」
何か、俺がフィールド上で人を偶然見かけると、こう言う事になる確率高い気がする。偶然のはずなのに、なんか悪意を感じるんだよこれ!
そんな事を思いつ
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