第二十五話 魔竜その十六
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「それでは髑髏天使は私が引き裂いてみせましょう」
「いや、どちらか選ぶのだ」
だが魔神はここで彼にこう告げたのだった。
「どちらかをだ」
「どちらかといいますと」
「もう一人来たからだ」
だからだというのだった。見ると。
牧村の後ろから一台のハーレーが来た。それに乗っているのは。
死神であった。彼が今来たのだ。彼は牧村のすぐ後ろにその愛車を停めるとすぐに降りてそのうえで美女を見据えて言ってきた。
「久し振りだな」
「会う予定はなかったがな」
「それは私も同じだ」
彼女にこう返してからだ。
「次はやはり貴様だったか」
「そうだな。貴様に渡す魂は今はないが」
「どちらにしろだ。食らった者をその中に止めるのは許されはしない」
死神はまだ鎌を持ってはいない。しかしその心には既に鎌を持っていた。鋭い輝きを放ちながら彼女に対して問うているのである。
「生かしておくのなら外の世界に出すことだ」
「殺すのならその魂をか」
「冥界に送らせてもらう」
まさに死神としての言葉であった。
「それが摂理なのだからな」
「冥界の摂理か。相変わらずだな」
「それを壊す者は決して許しはしない」
間合いは詰めてはいない。それでも凄まじい殺気を魔神に向け続けていた。
「この時代でもだ」
「安心するのだな。今はそれには興味はない」
魔神は牧村に告げたことを彼にも告げた。
「それよりもだ。貴様も来たということはだ」
「わかっている。闘わせてもらう」
死神の言葉がさらに鋭いものになった。
「私もだ」
「じゃあ僕は」
ここでふとあの目玉が死神の少し上に出て来た。そうして言ってきたのだった。
「見させてもらおうかな」
「そうか」
「貴様も遊びに来たのか」
「二人共久し振りだね」
目玉は紳士と美女に対して挨拶を返した。
「元気そうだね、相変わらず」
「久し振りにこの世に出て来たが」
「見ての通りだ」
「会えて嬉しくはないけれどよかったねと言っておくよ」
こうも二人に言うのだった。
「出て来れてね」
「ただの目玉ではないな」
牧村も彼を見ていた。その黒い球体から見える目と脇に左右に一つずつ出ている翼を見て。すぐにそのことを悟っての言葉である。
「貴様の友人か」
「違う」
死神は今の牧村の問いをすぐに否定した。
「そう思ったことは一度もない」
「違うというのか」
「同じ世界にいるだけだ」
「ということはだ」
今の死神の言葉を受けてだった。牧村は目玉に目をやってそのうえで彼に対して問うた。これが彼と目玉のはじめての会話になった。
「貴様もまた」
「まあそういうことだね」
目玉の言葉は笑っていた。
「僕もそれだよ」
「そうだな。神と言われる存在か」
「そう思
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