SAO編
十四話 とある日の決闘の話
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キル……
「ふっ!」
が、それを殆ど反射で剣を切り返し、キリトは弾く。その剣には濃い水色のライトエフェクト
アスナの両肩と上下に十字を掻くような四連撃、《ラファル・クロワ》に対し、キリトは水平四連撃、《ホリゾンタル・スクエア》
互いの連撃が甲高い音を響かせながらぶつかり合い、二人とも少しノックバックしたことにより生まれた隙間から表情が見える。
アスナは自分のフェイントに対応しきったキリトに驚いているようだったが、キリトの方は案外と楽しそうだ。……まぁアイツ意外とこう言うのでは楽しむタイプだからな。
そうして、決闘は十分間近く続く。互いに打ち合う内、徐々にキリトだけでなく、アスナの方にも少しずつ楽しそうな表情が見えてゆくのが印象的だった。
が、そんな決闘にも終わりは訪れる。結構、意外な形で。
俺がそれに気が付いたのは全くの偶然だ。ただ不意に、キリトのそれまで重心移動以外に使われていなかった左手が、ピクリ。と動いたのが、確かに見えた。
「あ、」
俺が短い声を上げた直後、攻撃動作に入ろうとしていたアスナにタイミングを会わせるがごとく、キリトの左手が稲妻の様な速度で跳ね上がった。
それはちょうど、左手にある剣でカウンターをするかのように。
勿論、実際には左手に剣など握られてはいない。と言うか、両手で剣を使う《二刀流》の剣士など、この世界にはそもそも存在しないのだ。
しかし、アスナはそれに迎撃しようと動いてしまった。
まぁ仕方ないと思う。理性では分かっていても、身体が反射的に対応してしまうほどに、キリトの動作は真に迫るものだったから。
結果的に、存在しない左手の刃を迎撃しようと剣を振ったアスナには決定的な隙が生まれてしまい、それを見逃すはずもなく繰り出したキリトの攻撃がクリーンヒット。決闘はキリトの勝利に終わった。
ちなみに、後日行われたボス討伐は案外と楽に終わった。戦闘終了後にキリトに、「兄貴一人で大立ち回り過ぎだ!」と怒られたが割合する。
そうそう。
決闘終了後のアスナがキリトを見る目に、何処か熱っぽい物を見た気がした。
その日の帰り道、俺はその顔の意味を考えて、一人微笑する。
「いやいや、もう三月だし、春はすぐそこだねぇ」
そんな事を言いつつ、上機嫌で俺は家への道を歩く。
うん、暖かくなってきたな。
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