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髑髏天使
第四話 改造その二
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「ほぼ効いてはいなかった」
「だからじゃよ。是非共な」
「そういうことか」
「すぐに終わるわ」
「すぐに!?」
 今の博士の言葉には顔を顰めさせる牧村であった。
「サイドカー全体を改良するのだろう?」
「その通りじゃが」
「それですぐに終わるのか」
 顔を顰めさせたまま彼に対してまた言う。
「それで」
「終わるとも。だから普通の改良ではないのじゃ」
「普通ではない」
「あれじゃよ。錬金術じゃ」
 笑いつつ牧村に述べるのであった。
「科学や工学も使うがのう。しかしメインはやはり」
「錬金術になるのか」
「科学や工学と同じものじゃよ」
 博士はこうも言った。
「錬金術もな」
「とてもそうは思えないがな」
 牧村の考えではそうであった。これは今の一般的な人間の考えでもあった。最早錬金術などというものは怪しげなオカルトの類にしかなっていないからだ。だからこそその名前を聞いて顔を顰めさせたのだ。こうした意味で彼の判断は妥当であると言えた。
「錬金術を使うと言われてもな」
「安心せよ。本当にすぐに終わるわ」
 それでも博士は言うのであった。
「すぐにな」
「すぐにすぐにと言うがどれだけだ?」
「これから講義はあるか」
「午後の四時までだ」
 研究室の壁にある古ぼけた鳩時計を見て述べる。この時計は博士の趣味で時折居眠りをしている博士が鳩によって起こされることもある。
「今日はな」
「ではそれまでには充分に終わる」
「今十二時だが」
 牧村は今度は今の時間を述べた。
「それがすぐに終わるのか」
「簡単にな。三時には終わっておるな」
 博士はこうも答える。
「その頃までにはじゃよ」
「本当か?」
「本当だよ」
 今度彼に答えてきたのは妖怪達であった。彼等も今この部屋にいたのである。
「僕達も手伝うからさ」
「すぐに終わるよ」
「妖怪がサイドカーのことを知ってるのか」
 牧村にとってはまずこれが奇妙に思えることであった。そのうえでさらに奇妙に思えたことがさらにあったのだった。
「それに錬金術まで」
「それはわしじゃよ」
 今の言葉に答えたのは博士であった。
「わしが知っておるのじゃよ」
「だから僕達はお手伝いなんだよ」
「まあ錬金術には抵抗がないけれどね」
「そうなのか。とにかく夕方にはできているんだな」
「うむ」
 博士は牧村に対して頷いて答えてきた。
「そうじゃ。じゃから安心して講義に行くといい」
「わかった。では期待している」
「凄いものになるぞ」
 実に楽しげに牧村に語るのだった。
「これまでにない素晴らしいサイドカーになるからな」
「ああ」
 彼は博士に別れを告げるとそのまま講義に向かった。左右に木々が並んでいるキャンバスを歩いていると不意に後ろ
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