第二十五話 魔竜その六
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「ポーカーフェイスじゃな」
「勝負にはいいよね」
「表情見せないのって」
「昔からポーカーやそうした遊びは強かった」
牧村もこう言うのだった。
「負けた記憶はあまりない」
「そうそう、だからだよ」
「だから強いんだよ」
まさにそうだと返す妖怪達だった。
「感情見せないっていうのもいいんだね」
「少なくとも勝負にはね」
「そのうえで相手の心を読むのじゃよ」
さとりがまた言い加えてきた。
「よくな」
「わかった。ではそうしていこう」
それに頷く牧村だった。ここで手に取っていた柿を食べる。その柿は。
「いいな」
「美味いじゃろ」
横からさとりが笑いながら言ってきた。
「今は身体から出る気からわかったぞ」
「気でか」
「出て来るのがわかった」
それを見てというのである。
「よくのう」
「そうか。わかったか」
「わかったな、今のは」
「僕達にもね」
「はっきりわかったよ」
他の妖怪達もわかったという。
「気はわかりやすいかな」
「目や口の動きよりも」
「仕草よりもまだね」
「そうか」
それを聞いて考える顔になった牧村だった。今度は気であった。
「気もだな」
「そこも注意だね」
「さとられないようにね」
「わしにもじゃよ」
さとりも言ってきたのだった。
「よいな、それは」
「さとられないか」
「練習になるじゃろ」
「ああ」
彼のその言葉に対して頷いた。
「その通りだな」
「しかしもっとも」
さとりはここまで話してまた苦笑いになった。そうして言うのだった。
「今は読めんわ」
「俺の考えをか」
「うむ、わからん」
こう言うのだった。
「全くな。それを見れば大丈夫じゃがな」
「俺は何も意識していないが」
「意識せずともそれができるんじゃいいじゃない」
「そうだよね」
さとり以外の妖怪達はそれを聞いて言い合う。
「牧村さん凄いよ」
「素質あるじゃない」
「というよりかは天才じゃな」
さとりはこう評した。
「感情を見せないことののう」
「そうかもね」
「確かにね」
妖怪達は今度はさとりの言葉に頷いたのだった。
「牧村さんって最初に会った時からそうだったし」
「今は最初のその時よりずっと凄いけれど」
「しかしじゃ」
今度言ってきたのは博士だった。
「感情を見せないのはいいが消すのは駄目じゃ」
「それは駄目なのか」
「人間にしろ妖怪にしろ感情はある」
こう牧村に話すのだった。
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