第二十五話 魔竜その四
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「頭の中にある作り方がわかったからじゃ」
「それで作ったのか」
「うむ。昔会った中国の妖怪にな」
「どういった妖怪だ?」
「天狐じゃったな」
その妖怪の名前を思い出しての言葉だった。
「確か」
「狐か」
「そうじゃ。千年生きた狐じゃ」
それだというのだ。狐も千年生きていれば変わるのである。
さとりはその狐のことも話してきた。
「そうして神仙になったものじゃよ」
「神仙か」
「それはわかるかのう」
「わからない筈がない」
牧村は言った。
「そういう存在なのか」
「そうじゃった。えらく力があってじゃ」
「妖怪という域を超えていたんだな」
「そうなのじゃよ。それと会ってそれで心を聞いてじゃ」
「ふむ。それでじゃな」
博士も横で話を聞いて述べた。
「このお茶ができたのは」
「どうかのう。博士にもいいと思うが」
「お茶が身体にいいというのじゃな」
「そうじゃ。じゃから是非飲んでくれ」
つまりさとりの善意だったのだ。そうしてそれは博士に対してだけではなかった。
牧村にもだ。ここで彼にも勧めるのだった。
「さあさあ、牧村さんもな」
「言われずとも飲んでいるが」
そうなのだった。彼は飲んでいるのだった。
「だが。味は蜂蜜をかなり入れて何とかだな」
「味は我慢してくれ」
味は仕方ないとのことだった。
「それだけはのう」
「味の分だけいいというのだな」
「そうじゃ。まあ一日一杯とは言わん」
「それは勘弁して欲しいものだ」
魔物との戦いについて何も言うことはない彼でもこの茶だけはというのである。
「こんな味のものはな」
「じゃからそれは言わんのじゃ」
さとりも笑いながら彼に告げてきた。
「わしはさとりじゃよ」
「さとりなのがどうかしたのか」
「ああ、さとりはじゃな」
ここで博士が牧村に話してきた。さとりとは何かをだ。
「さっき自分から言っておったじゃろ。相手の考えがわかるのじゃよ」
「それでは俺の考えもか」
「いや、難しいものじゃな」
牧村についてはというのだった。
「残念じゃがな」
「わかりにくいのか」
「わしは相手の言葉や目、それに身体全体の動きから心を読むのじゃよ」
そうしてなのだった。種を明かせばだ。
「しかし。牧村さんはそういうのを見せてくれんからのう」
「戦っていると自然に消える」
牧村はこう述べた。
「それはな」
「相手に感情を見せてはそれがすぐにか」
「敗北につながる」
だからだというのだ。しかしこれはもう言うまでもないことだった。
「それはわかると思うが」
「ううむ。本来はここでもじゃよ」
さとりは残念そうに述べたのだった。
「わかるのじゃがな。相手の考えがな」
「しかし俺に対してはか」
「わか
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