SAO編
十三話 居場所は違くとも
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は、「カノン」
徐々に音が増えてゆく。それは通常アンサンブルでつかわれるチェロやコントラバスではなく、全てヴァイオリン。やがてオルガンの伴奏が用意した舞台の上では三つのヴァイオリンの音が踊っていた。
一つ一つのヴァイオリンが複雑に入れ替わり立ち替わり主役を交代するようにメロディーを奏でる。
絡まり、或いは離れ、重なり合った音が流れるような軌跡を描く。
それは段々とテンポを増していき、そして曲中に置いて最も盛り上がる部分。
この曲を、万民多くが知る理由となった部分が奏でられた瞬間、シリカ達は音の海の中にいた。
周りの空間全てをリョウが生み出す音が支配し、時間と共に次々に色を変える。
まるで今日見た、花が支配する世界の様に。
そう思った時、シリカの頭の中に何故だろう、昨日と今日リョウと過ごした時間が次々に思い起こされる。
頭の中を駆け巡る思い出を見ながら、シリカは思う。
自分は、忘れないだろうと。
このたった一日を。
その間を共に過ごした、この少し不思議な兄のような人物を。
いつまでも続くかのような時間の芸術《おんがく》は、やがて最後の一音とともに、静寂と、思いを残して消えた。
Second story 《不思議な青年》 完
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