第二十四話 妖異その十六
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「クマゾッツ様、ここに」
彼の後ろに来ての言葉であった。
「参上致しました」
「よく来たね。それでだけれど」
「戦いですね」
「相手はもういるよ」
このことも彼に話すのだった。
「楽しんでね」
「有り難き御言葉」
魔物は子供のその言葉に恭しく返したのであった。
「では甘えまして」
「期待しているよ。さて、これでいいかな」
「いいだろう」
死神はその子供に顔を向けて応えた。
「戦わせてもらう」
「決まりだな」
「そうだね」
彼の言葉を受けて黒人と魔物が顔を見合わせて言い合った。
「それではだ。我々はだ」
「これで帰らせてもらうよ」
「見ないのか」
「今はそんな気分じゃないからね」
「俺も同じだ」
こう牧村に返すのだった。だからだという。
「それじゃあまた」
「また会うことになる」
それぞれ告げて姿を消すのであった。
後に残ったのは牧村と死神、そして魔物達だった。周囲は運転に気を取られているのか魔物達には気付かない。少なくとも車の上にいるその魔物には全くであった。
「それではだ。ここでは人目につくか」
「いや、その心配はない」
死神が牧村に対して述べたのだった。
「それには及ばぬ」
「何故だ?人がわからないとでもいうのか?」
「今回の勝負は一瞬で決まる」
死神はこう述べたのだった。
「だからだ」
「変身してすぐにか」
「後は敗者が消える」
死神の声の響きは冷徹でさえあった。
「それだけだからだ」
「わかった。では俺も一瞬で終わらせよう」
牧村は死神のその言葉を受けて静かに応えた。
「その方が後腐れがなくていい」
「面白いな」
二人のその会話にバイクに乗る魔物が乗ってきた。やはりその顔は獣のものである。
「俺もそれに乗ろう」
「一瞬での戦いにか」
「戦いとは本来そうあるべきだ」
魔物はこう言うのであった。
「一瞬で終わらせる。奇麗にな」
「奇麗にか」
「狩りと同じだ」
魔物は言った。
「獲物の狩りも一瞬で終わる。だからこそだ」
「俺を一瞬で倒すというのだな」
「そのうえで食ってやろう」
その赤い目が光った。禍々しく餓えた目であった。
「貴様をな」
「いいだろう。それは俺が敗れた場合だな」
「如何にも」
「敗れればどのみち死ぬのが戦いだ」
それが髑髏天使の戦いだった。魔物との戦いだった。この考えはこれまでの幾多の戦いで備わったものである。それだけのものがあるのだ。
「それならばだ」
「潔いと言うべきか」
「執着しないだけだ」
それだと返すのだった。
「ただ。それだけだ」
「そうか。それならそれでいい」
別に構わないといった口調の魔物であった。
「では戦うとしよう」
「わかった」
牧村
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