第二十四話 妖異その十五
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「そしてだ。今は貴様を食らうことがこの者の望みだ」
「俺をだな」
「そうだ。この者は貴様を食らうことを望んでいる」
やはり牧村に顔を向けることはない。声だけをかけるのだった。
「他ならぬ貴様をな」
「俺をか」
「逆さ男様の仰る通りだ」
魔物は彼に顔を向けてきた。その顔は豹を思わせる。
しかしその目が違っていた。赤いのだ。赤いその目を彼に向けてそのうえで言ってきたのだった。そうしてまた言うのであった。
「俺の望みは貴様を食らうことだ」
「わかった。それではだ」
「この男と闘うか」
黒人はまた牧村に対して問うてきた。
「どうするのだ」
「いいだろう」
牧村は彼のその言葉を受けて述べた。
「闘おう。それでいいな」
「よし、それではだ」
頷こうとした。しかしであった。
「やっと見つけたよ」
ここで目の前の乗用車の上に子供がいた。あの子供である。
「逆さ男も髑髏天使もここにいたんだ」
「貴様も来たのか」
「そうだよ。面白そうだからね」
子供は黒人の問いに無邪気な、子供の笑みを浮かべて答えた。
「来たんだけれど」
「だが髑髏天使の相手は決まった」
黒人はこのことを彼に告げた。
「それはわかるな」
「わかるけれど相手は一人じゃないじゃない」
こう言うのである。
「そうでしょう。それは」
「あの男も来ているのか」
牧村は子供の言葉を受けてすぐにそのことを察したのだった。
「そうなのか」
「そうだ」
するとだった。バイクがもう一台来た。それはあのハーレーダビットソンであった。そうしてそこに乗っているのもやはり彼であった。
「私も来た」
「闘いに誘われてか」
「死者の匂いを嗅ぎつけてだ」
だからだと自分で言うのであった。
「だからここに来たのだ」
「そうか。死者のか」
「正確に言えばこれから死ぬ者だ」
それだというのである。
「その臭いを感じてだ」
「それは誰かな」
「貴様と言いたいが」
死神は子供を見て述べてみせた。
「残念だがそうはならない」
「神は死なないからね」
「それは貴様の下にいる者だ」
それだというのであった。
「もう連れて来ているな。早く出すことだ」
「いることはいるよ」
それは子供も認めることであった。
「ただ。随分とやる気なんだね」
「私が今度魂を送るのは貴様のその下にいる者だ」
まさにそれだというのであった。
「だからだ。早く出すことだ」
「別に急がなくてもいいじゃない」
子供はここでも余裕を見せていた。
「すぐに闘うんだしさ」
「確かに焦る必要はない」
死神は子供のその言葉に返した。
「しかしだ。私もまたこれが仕事だ」
「だから出せっていうんだね」
「そうだ。何処にいるのだその魔
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