第二十四話 妖異その十二
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「それか百二十歳だったかな」
「どっちにしても凄い歳だよね」
「歳は関係ないのじゃ」
しかし博士は強引にそういうことにするのだった。
「別にのう」
「関係ないってそんな訳ないじゃない」
「だよねえ」
妖怪達は当然ながら博士の今の言葉にそうですかと頷くことはなかった。
「だってさ。足腰だけじゃなく身体って」
「年齢と一緒に衰えていくし」
「そうそう」
人間ならば離れることのできない問題である。それは当然ながらこの博士にしても同じである。少なくともそうである筈の話である。
「それで歩けるの?」
「しかも充分に」
「満足に歩いておるぞ」
しかし博士はあくまでこう主張するのであった。ここでもである。
「しっかりとのう」
「そんなになの」
「しっかりとって」
「一日一万歩は歩くようにしておる」
こんなことを言ってきた。
「ちゃんとな」
「一万歩って」
「それはまた」
妖怪達だけでなく牧村もそれを聞いて声をあげた。
「元気なものだな」
「だよねえ」
「歳を考えたら」
百歳を優に超えてそれである。確かに凄い話であった。妖怪達も牧村も驚くのに充分過ぎるまでの域に達していた話であった。
「その歳でそれだけ歩いたらね」
「何の問題もないよ」
「っていうか凄いね」
妖怪達は今度は賞賛の言葉を出した。その博士に対して。
「一日一万歩って」
「漫画家とか小説家なんて殆ど歩かないのに」
「どんな仕事でも時間があれば歩いた方がいい」
博士はこう述べるのだった。
「少しでもな」
「運動になるってことか」
「それだよね」
「左様。身体を動かすのはいいことじゃ」
やはりそういうことだった。博士は身体を動かすことをよしとしているのである。伊達に百年以上生きているということではないようである。
「うちのかみさんももう連れ添って八十五年じゃったか?」
「銀婚式とダイアモンド婚いったね」
「そんなの滅多にないよ」
少なくともそうはある話ではない。金婚式ですら稀である。そのうえ夫婦仲が睦まじいというのはさらにない話である。まさに奇跡である。
「何かお化けみたい」
「僕達が言うのも何だけれど」
「病気一つしたことがないからのう。毎日動いておるおかげでじゃ」
「奥さんもか」
「左様」
ここでまた口を開いた牧村に対する返答であった。
「怪我はあったが病気は一つもしたことがないぞ」
「怪我はあるのか」
「何階か転んですりむいた」
それだというのであった。
「それだけじゃな」
「そうか。それだけか」
「ははは、運動は健康にいいのじゃよ」
言いながら博士もその石榴のケーキを食べていた。横からろく子が出したそれを食べているのである。そのケーキもまた紅いものだった。
「
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