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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
閑話V 夕呼の歩む道
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向性が偏っているのは何故かということだ。
因果律量子論は確かに既存の概念を覆す新しい切り口の理論であり、証明できれば世界の在り方そのものを変えてしまうようなものだが、そういった理論系の先端研究は昨今冷遇される傾向にある。BETA大戦が始まってからというもの大学の研究も機械、素材、電子などと言った兵器に転用できる部門に特化している。私の理論はそういった類のものではない。
そして上からの注文が鬱陶しい。確かに補助金を出すのは政府なのだからある程度の要求は当然だが、その要求が『他の生物の意思を読み取る翻訳機』とは一体どういうことか?全く理解できない。それなら生物学科か言語学科の研究室に依頼するべきだろう。確かに私の研究が実を結べばこれまでにないレベルの演算能力を持ったコンピューターができるし、それを使えばそういったこともできるかもしれない。しかしそれはあくまで研究の副産物であり、理論証明の一段階でしかない。そもそも高性能コンピューターが目当てなら兵器転用狙うはず。それが『翻訳機』である。
疑問に思った私は担当官として研究室に訪れた榊是親外務大臣に疑問をぶつけた。
「榊さん、研究資金を提供してくれていることには感謝しますが、私の研究がいったい何に使われるのか教えていただけませんか?」
「ほう…何故そんなことを知りたがるのかね?」
「そうですわね…使用目的が明確ならより早くお望みの結果を出せるから…という理由はどうですか?」
「はっはっは!心にもないことを。君の性格は分かっているつもりだよ。単にその理由が面白そうなだけだろう?」
「お見通しでしたか。でも事実ですわ。何を目的とし、何を何に翻訳するのかが明確なら研究もはかどります。」
「そうかね。ふむ……君はどう考えているんだ?自分の研究が何に使われると思う?」
「そうですわね………巨額の研究資金を因果律量子論という突拍子もない研究につぎ込んでいること。内容が『生物の意思を読み取る翻訳機』ということからBETA戦争で使われるものと推測できますが。」
「的を射た推論だね。正解と言っておこう。」
「ありがとうございます。しかしそれだけでは足りません。」
「何がだね?」
「なぜ因果律量子論がそこで注目されるのか。その疑問に目を瞑ったとしてもBETAの生態について知らなくては私としてもどうしようもありません。」
「なるほど………。」
私の言葉に榊大臣の言葉が詰まる。何か明かしてはいけない秘密でもあるのだろうか?
「私としても時間は惜しい。その疑問について答えてもいいが……君は引き返せなくなるぞ。これは非常に高度な政治的問題でね。この話を聞いてしまうと君には守秘義務が生じ、この研究から降りることもできなくなる。厄介なことに巻き込まれることになるだろう。それでも良いのかね?」
「言われなく
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