第二十四話 妖異その九
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「全くのう」
「人や妖怪が食べるものを食べなくなってか」
「それもまた魔物の特徴の一つなのじゃよ」
「そうなのか」
「ただしじゃ」
「ただし?」
「あちらはそれには全く気付いておらん」
博士は話したのだった。
「全くのう」
「そうそう、自覚ないんだよね」
「自分達じゃ全然ね」
また話す妖怪達だった。このことをだ。
「自分達の食べるものが変わってもね」
「全然気付かないんだよね」
「じゃから。妖怪と魔物はその食べるものからもわかる」
博士はまた話したのだった。
「どちらかがのう」
「それではだ」
牧村は博士の話をここまで聞いてそのうえでその博士に対して問い返したのだった。
「人もまたそういうものを食べるようになればか」
「魔物となっていくのじゃ」
博士の返答は牧村が考えたままのものだった。まさにそっくりそのままだった。
「魔物にのう」
「人を食えばか」
「これは中国で言われていることじゃ」
また話に前置きしてきた博士だった。
「人を食えばその目が赤くなるのじゃ」
「目がか」
「人食いは大罪じゃ」
これはどの国でもおおむね同じである。確かに中国では人が人を食う話が歴史に多く残ってはいる。しかしそれが大罪であるのは当然のことなのだ。
「それを犯した者は目が赤くなるのじゃ」
「そうなるのか」
「左様、じゃからすぐわかるとされておるのじゃ」
「面白い話だな、それは」
「人は人を食うものではないということじゃよ」
言いながら少し遠い目になった博士だった。
「如何なる理由があるとしてのう」
「そういえば韓国だったか」
牧村もまた博士の話を聞いているうちにあることを思い出したのである。それは。
「強盗団だか何かだったか」
「強盗が人を殺したとか?」
「それで人も食ったとか?」
「そんな話だったな、確か」
妖怪達に応えながら述べた言葉だった。
「人の心をなくす為と言ってな」
「そのままじゃよ。人だけは食ってはならんのじゃよ」
博士の目はやはり遠くを見るものだった。それと共に非常に悲しいものを見る目だった。
「同胞ものう」
「僕達そんなことしないから」
「人間を食べたりしないよ」
このことを確かに言う妖怪達だった。
「何があってもね」
「絶対にだよ」
「それならばいいがな」
牧村も彼等の言葉を聞いてまずはいいとした。
「魔物ではないのだからな」
「それでさ、牧村さん」
「そういう相手いた?」
妖怪達はこう牧村に対して問うてきたのだった。
「目の赤い相手」
「人とか僕達を食べたみたいな相手」
「そういうのいた?これまでに」
「いや」
話を聞いてみて思い出してみた。しかしそうした相手はこれまでいなかった。思い出してみたがそう
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