第二十四話 妖異その六
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「身体の為にも」
「そうね。そうしようかしら」
母もそれに乗り気になるのだった。
「カレーの時なんかでも」
「カレーの御飯にそれなのね」
「それでカレーもね」
ルーについても言う母だった。
「お野菜色々入れて。あとお肉も」
「お肉は牛肉じゃないの?」
「スジ肉にしようかしら」
こんなことを言うのであった。
「それをじっくりと煮てね。それでね」
「スジ肉のカレーなのね」
「そう。それね」
「スジ肉も身体にいいの」
「そうよ。力士の人のカレーはそうなのよ」
そのスジ肉を使っているというのである。
「だからそれを考えてるけれど」
「スジ肉のカレーなのね」
未久はそれを聞いて暫し考える顔になった。牧村はその横で黙々と食べ続けているだけである。
「そうねえ」
「どうかしら」
「いいんじゃないの?」
今度もこう答える娘だった。
「それもね」
「いいと思うのね」
「面白そうだからね」
だからいいというのである。まずはそれだった。
「それにスジ肉も美味しいし」
「未久も本当に何でも食べるわね」
母と娘はお互いこう言い合いながらにこにことしていた。そのうえで話すのだった。
「それじゃあね」
「決まりでいいわね」
あらためて未久に対して問うのだった。
「今度のカレーはスジ肉でね」
「ええ、いいわ」
未久もそれでいいとした。話の流れは早いがそれでも決まったのは確かである。
「それじゃあそれでね」
「了解。それじゃあ」
「スジ肉のカレーもいいわね」
「来期はどう思うの?」
二人で話を決めてからそのうえで男衆に問う。この家でもそうした形がとられるのだった。
「スジ肉のカレーは」
「悪くない」
今度もこう答える牧村だった。やはり黙々と食べている最中だった。
「それでな」
「そう。じゃあこれで決まりね」
「俺は豚肉や鶏肉のカレーも好きだがな」
「勿論そういったのも忘れないわよ」
当然と言わんばかりの母の返答だった。
「余裕があればシーフードカレーもね」
「ならいい」
「それで決まりね。じゃあ今度のカレーは」
「スジ肉のカレーね」
「力士風にね」
そんな話をして夕食の時を過ごすのだった。今は彼女達は平和だった。
この話は博士のところでもした。スジ肉のカレーと聞いてまず研究室の中にたむろしている妖怪達がそれぞれ興味深そうに言うのだった。
「あれ美味しいよね」
「そうだよね」
「知っていたのか」
いつも通り壁にもたれかかっている姿勢で話を聞く牧村がその言葉を聞いて述べた。
「スジ肉のカレーは」
「だから力士の人が食べるカレーだよね」
「それだよね」
「そうだ」
まさにそれだと答える牧村だった。
「それだ」
「それなら知っ
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