第二十四話 妖異その二
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「普段は鰹節と昆布だけでしょ、うちのダシは」
「ええ」
未久はそのまま味噌汁を飲み続けながら母の言葉に頷く。
「そうよね、いつもは」
「けれどお父さんはそこに椎茸も入れてるのが好きなのよ。だからね」
「こういうふうにしたの」
「そういうことなのよ。それでどうかしら」
ここまで話してまた子供達に問うのだった。
「今日のお味噌汁は」
「美味いな」
「いいと思うわ」
返答は彼女の期待に沿うものだった。
「どれもな」
「かなりいいじゃない」
「そう。それならいいわ」
彼等の言葉を受けてそのうえで微笑む母だった。
「美味しいのならね」
「何か今日かなり手間かけてない?」
未久は今度はその好物のほうれん草のひたしを食べながら母に問うた。
「どうしたの?一体」
「まあ何となくね」
そうだと答える母だった。
「そうしたかったから」
「気紛れだっていうの?」
「気紛れっていうんならそうなるわね」
そしてそれを否定しないのだった。
「やっぱりね」
「気紛れでの気配りなの」
「いつもはあれじゃない」
母はさらに未久に話してきた。
「家族の誰かの好みに合わせて作ってるわよね」
「っていうか大体お母さんの好み?」
未久はほうれん草を食べながら言った。
「夕食は」
「作ってる人間だから別にいいでしょ」
「まあそうだけれど」
こう言われるとだった。反論のしようがない言葉であった。
「それは」
「だからそれ位はいいじゃない」
「まあね。お母さん何でも食べるし」
「好き嫌いがないことはいいことよ」
今度はこんなことも言う母だった。
「そのおかげであんた達も色々なものが食べられるでしょ」
「まあそうだけれど」
「それによ」
母はさらに言うのだった。
「何でも食べるのが一番身体にいいのよ」
「それ昔から言うわね」
「その通りだからよ。偏食は身体によくないから」
それはまさにその通りであった。正論ではある。
「だからね」
「一応わかったわ」
「未久もねえ。何でも食べたけれど」
言いながら娘を見て。ふう、と溜息をついたうえでまた言うのであった。
「背だけは大きくならなかったわね。あと胸も」
「いいじゃない、別に」
そう言われても特にどうということのない感じの未久だった。どうやらあまり気にはしていないらしい。
「背がなくても胸が小さくても」
「あんたはそれで満足なの」
「だって小柄な娘とか貧乳の娘が好きな人だって多いし」
これは事実である。好みは人それぞれということだ。
「だからね」
「それがわからないのよね」
しかし母は娘のその言葉を聞いて首を傾げるのだった。
「何でなのよ。背が小さくても胸がなくてもいいなんて」
「お母さんの時は違っ
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