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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
閑話U 岩沢慎二という男
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。遠田技研が米国のノースロックと提携しようと画策していたことは真実で、巧の英才教育の最終的な目的は遠田技研が戦術機開発をする際にその経験や知識を会社に還元することである。
慎二は過去に父から聞いた話に嘘と脚色を混ぜることで違和感のないウソを作ったのである。
「そっ、それは本当かね?もしそうなら大問題だぞ!」
「向こうは断ったそうですがね、もし新型のデータを手土産にするなら話は変わってくるでしょう。」
「むぅ…では遠田巧を開発衛士に抜擢するというのはリスクがあるか…。」
「しかし彼の能力は惜しい。そこで私に一つ案があります。」
「ほう、君の意見というのは初めて聞くが言ってみるがいい。」
「はい。新型の試作機は出来ていても、その性能実験を確実にこなすためにはかなり時間がかかります。もちろん従来通りの方法で各項目をこなしていくことも大事ですが、それと同時に実戦試験をすることで制式採用までの期間を大幅に短縮できます。」
戦術機の開発には膨大な時間と労力がかかる。軍で要望仕様が決定され制式採用に至るまでには、研究や設計、部品の製造と組み立てだけでなく、試験機の運用試験というプロセスも必要になる。そして運用試験はすぐに済む場合もあれば、数年間にわたって行われることもある。特に改修ではなく一から新しい戦術機を作ろうとした場合は十年近くかかることすらある。実際に帝国は純国産の戦術機を作ろうと1982年以降尽力してきたが、未だ配備には至っていない。配備するためには基本性能の確認と安全性、整備性、実戦での運用等の試験と調整が不可欠なのである。
その視点のみで見れば慎二の案は合理的なものである。通常は安全な内地で運用試験をこなし、実戦に耐えられると確証を得たうえで実戦試験を行う。しかし実戦試験で全て項目をチェック出来れば運用試験に費やされる時間は大幅に短縮できる。
しかし実際にそんなことをしている国はない。性能実験をしていない機体はかなりの確率で動作不良を起こすのである。設計やシミュレーションの段階で検出できない問題はかなり多く、段階を踏んでいかなければ衛士の命がいくつあっても足りない。そして開発衛士を務められるほどの人材は貴重であり、大抵の場合エースや指揮官を務められるほどの熟練者である。
故に開発されたばかりの試験機を実戦に投入することはある意味人体実験と変わらない、非人道的な手法なのであり、全体から見ればマイナスなのである。
「有効な案ではある。しかしそんなことは出来んよ。そもそも上が認めないだろう。」
「技術廠にとって遠田巧が危険分子なのと同じように、各部署にも危険分子はいます。そういった奴らを集めて部隊を構成し大陸派遣部隊として送り込むんですよ。米国の影響力の少ない戦地に送り、情報を封鎖する。今であればインドあたりが良いと思います。そ
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