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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
閑話U 岩沢慎二という男
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料をご覧ください。」
「遠田巧訓練兵…厚木の訓練校か。………これはっ!?16歳で志願、半年で基礎訓練を終え戦術機教練課程も2カ月で終了、米軍との模擬戦にも参加しているのか!」
「しかも米軍機を一機落としています。小隊の連携が上手くいったためですが、彼個人の能力も素晴しいものがあります。また技術系の知識にも長け、整備士にアドバイスできるほどです。幼少から家の方で英才教育を受けていたようですね。厚木基地では有名人ですよ。」
「遠田巧…遠田…そうか、遠田技研の所の息子か。」
「はい。かなり色々な意味で特殊な人材ですが才能に疑いはありません。新人で戦術機の能力を引き出すという点では適任かと思います。」
その話を聞いていた慎二は久しく感じていなかった激情に駆られていた。
(遠田技研?あの成り上がり共か…)
遠田技研という歴史の浅い成り上がりの息子。本来自分などとは比べ物にならないほど格の低い存在のはず。それにも関わらず運や才能に恵まれ、自分が手に入れられなかったものをすべて持っている。若くして衛士として注目を浴び、新型の開発衛士にすら推薦されている。
何故自分ではないのか。
何故自分はこんなところで腐っているのか。
何故こいつらは自分に注目しないのか。
激情の正体は嫉妬だった。光菱の自分が落ちぶれ遠田の巧が持て囃されるのが我慢できなかったのだ。
(どうにかして追い落とせないものか…)
慎二は考える。自分が巧を追い落とすことはできない。自分の能力が低いことはもう嫌というほど分かっているし、自分はもう一生浮かび上がることはないだろう。ならば引きずり落とすしかない。しかし直接的に手を出すことはできない。もう一度問題を起こせば確実に処刑される。何の権限もない自分では正規の手段は取れない。
ならば間接的にはどうか。そこまで思い至ったとき一つの案が浮かんだ。
「私は反対です。」
その声に会議に参加してる誰もが耳を疑った。岩沢慎二は不祥事を起こして左遷されてきたお飾りであり、今まで一度も発言したことがない。そもそも参与として有意義な発言をする能力がないことは分かっている。そんな男が急に何を言い出すのか。
「それは何故かね?」
「私は光菱重工の関係者ですから業界の噂をよく耳にするのです。遠田技研は成り上がりの弱小企業という分を弁えず、戦術機開発に着手しようとしているとか。しかし単独で出来る訳もないので金のために帝国戦術機の情報を売ろうとしている売国奴共です。もしその遠田巧とやらを開発衛士に選べば、米国に新型情報が渡るでしょう。ああ、もしかしたらそのための英才教育なのではないのですか?もしそうなったときは責任を問われるのはあなた方ですよ?」
慎二の案は悪い噂を流して巧の評価を地に落とすことだった。
慎二の言ったことはすべてが嘘ではない
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