第三話 日々その十五
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まずは蛇男が鞭を出す。上から下に大きく振るう。
髑髏天使はそれを左にステップしてかわした。その動きは以前とは全く違ったものだった。
「速いな。しかもその動きは」
「何だ」
「フェシングだな」
「そうだ」
クールな声で蛇男に答えた。
「わかるのか」
「本来のフェシングはただラインの上で戦うものではない」
かなりよくわかっていることがわかる言葉だった。どうやら剣の扱いに関してもかなりの知識があるようである。それを感じさせる言葉である。
「戦う技だ。ならば」
「この足捌きも当然というのだな」
「その通りだ。どうやらただ剣を操ることを学んだだけではないな」
「如何にも」
その剣を構えつつ答える。
「貴様に敗れてからな。色々とわかった」
「ただフェシングをやったわけではないということだな」
「その通りだ。それでだ」
構える髑髏天使に対してまた述べる。
「今度は足だけでなく剣も見せてもらおうか」
「俺の剣をか」
「腕はおおよそはわかった」
「何っ!?」
「剣は腕だけでするものではない」
こうも言ってみせる。
「それだけではない。足もだ」
「さっきと話が同じだが」
「それでも言わせてもらう。足でおおよそのことがわかる」
「武道でも言われていることだがな」
「武道のことは知らないが」
どうやら彼は東洋のことには詳しくはないらしい。よく見れば今持っているその蛇の鞭も西洋にある本来は拷問用の鞭のそれに似ていた。
「その通りだ。今の貴様は俺が倒すに相応しい」
「相応しいか」
「倒すか倒されるか」
言葉には笑みさえ含まれていた。
「そうでなければ戦う意味がない」
「面白い考えだ。しかし」
「今度は何だ」
「俺は髑髏天使だ」
このことをはっきりと彼に対して告げる。
「敗れることはない。同じ相手に二度もな」
「どうやら貴様は本当に俺が闘うべき相手になったようだな」
髑髏天使の今の言葉を聞いて返した言葉だった。
「そうでなくてはな。やはりな」
「行くぞ」
一歩前に出て来たのは髑髏天使だった。静かに、だが確実に剣を突き出してきた。
それは蛇男の喉を一直線に狙っていた。しかし蛇男はそれを首を左に捻ることで紙一重でかわしたのだった。
「むっ!?」
「今度は俺の番だ」
剣をかわすとすぐに反撃に転じてきた。鞭を左斜め下から右斜め上に振り上げる。その蛇達を食らいつかせようというのだ。
しかし髑髏天使は今度は一歩後ろにステップしそれをかわした。前に突きを繰り出したその勢いをそのまま後ろにやってかわしたのである。
「今度はそう来たか」
「これだけではない」
鞭がそのまま上に上がったのを見てすぐにまた攻撃に転じてきた。勢いを今度は前にやる。前から後ろ、それから前に。
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