第二十三話 異形その二十一
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「毒がある。そうだな」
「如何にも。それにも気付いたか」
「それも身体を麻痺させる。そういう毒か」
「俺の毛は人ならば触れただけで動けなくなってしまうだけの毒がある」
魔物からも言ってみせたのだった。言うその間も舞い続けそのうえで毛を死神の周りに撒き散らし続けているのであった。相も変わらず。
「それは神に対しても同じだ」
「そういうことだな」
「そこまで察したのは見事だと褒めておこう」
死神の読みは賞賛してきた。
「しかしだ」
「だからといって私の身体はどうにもならないというのだな」
「如何にも」
今度の魔物の言葉は明らかに勝ち誇ったものであった。既に今の時点で勝利を確信している、だからこその今の言葉であった。
「その通りだ」
「そしてそのうえで私に攻撃を仕掛けるのだな」
「これならば貴様を倒すことができる」
魔物は悠然とした笑みと共に述べてきたのだった。
「完全にな」
「確かにな」
死神はまず魔物のその言葉を受けた。
「それは可能だ」
「可能だというのか」
「しかしあくまで可能なだけだ」
こう言うのであった。言葉は限定するものだった。
「可能な、な。倒せるわけではない」
「ほう。それではどうするのだ」
「確かに私の身体は徐々に動かなくなってきている」
死神はそのことを自分から言ってみせたのだった。そのまま自然とだ。
「しかしだ」
「しかし?」
「それだけで私を倒せるとは思わないことだな」
こう言うのである。
「私の身体を動けなくしただけでな」
「動けなくなったら終わりではないのか」
「違うな。それだけではない」
死神の声が強い者になった。そうしてだった。
「見るのだ」
「むっ!?」
「私自身が体を動けなくともだ」
影が出て来たのだった。そうしてそのうえで。
「私の影のことは知っていたな」
「知っていたが」
「なら話はわかるな」
その影が今魔物に対して闘いを挑みだした。それは一つではなかった。無数の影達が襲い掛かってそのうえで攻撃を仕掛けてきたのだった。
「影で俺を倒すというのか」
「そうだ。こうしたやり方がある」
彼は言った。
「身体が動けなくともだ」
「ふむ」
魔物は己に向かって来るその影を見ながら静かに述べた。相変わらず宙を舞っている。
「確かに影は来た」
「その通りだが」
「だが貴様を倒せば影達は消える」
彼は言った。
「違うか」
「その通りだがどうしたのだ」
「貴様を倒す」
言いながらその身体を死神に向けてきたのだった。
「こうしてな」
今までよりも遥かに素早い動きだった。その速さで死神に突き進んできたのだった。
そのまま死神に突き進んで来る。何をしようとしているかは明白だった。
それ
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