第二十三話 異形その十六
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「闘うとしよう」
「今からな」
彼等の闘いがはじまろうとしていた。そして牧村もまた。
彼はまだ人間の姿であった。魔物は宙に浮かんでいるがそこから動こうとはしない。今はただその宙に浮かんでいるだけであった。
「それではだ」
「変身しろというのだな」
「そうだ。早く変身するのだ」
彼に対して急かしてさえきたのだ。
「そのうえで俺と闘うのだ。いいな。
「元より闘うつもりだ」
だからこそ今ここにいる。そういうことである。
両手を拳にしてそれを己の胸の前で打ち合わせる。その打ち合わせた場所から白い光が放たれ彼の全身を包み込んだ。そうしてすぐに甲冑を着た異形の天使になるのであった。
「行くぞ」
この言葉と共に右手を肘を折ったうえで胸の高さまでやって一旦開いてから握り締める。それが闘いの合図となった。
まずはすぐに身体の色を変えてきた。白い権天使となったのである。
それと共に背中の翼で宙にあがる。魔物と空で対峙した。
「これでいい」
魔物はその宙を舞う彼を見て告げた。
「闘えるというものだ。俺もな」
「それでは貴様の闘いを見せてもらう」
髑髏天使は背中の翼で羽ばたき宙を舞いながらその両手の剣を構えていた。
「今ここでな」
「いいだろう。見せてやる」
魔物もまた彼のその言葉を受けて述べてきた。
「ここでな。俺の力をだ」
「その巨大な頭は伊達ではあるまい」
すぐにそのことを察した彼でだった。
「そうだな」
「如何にも。伊達ではない」
魔物もそのことを認めてみせた。
「では行こう」
その言葉と共にだった。恐ろしい速さで髑髏天使に向かって突進してきたのであった。
「突撃だ」
「さあ、かわせるか」
脳天を先にしたうえで髑髏天使に対して問う。
「この速さが貴様に」
「かわさずとも」
今は構えるのだった。かわそうとする素振りはない。
「貴様をそれより先に倒せば問題はない」
「かわさないというのだな」
「そうだ」
こう言ってみせたのだった。
「また言うがかわす必要はない」
「そして俺を倒すのか」
「では。倒してやろう」
魔物を見据えながらの言葉である。
「ここでな」
「そうでなくてはな」
「面白くないのか」
「如何にも。闘うのならば」
魔物は言うのであった。またしても。
「それに相応しい気概の相手ではなくてはな」
「気概か」
「少なくとも貴様はその気概がある」
彼の今の言葉からそれを察したのであった。
「それだけのものがな」
「少なくとも俺は俺だ」
髑髏天使の今度の言葉はこうしたものであった。
「その俺と闘うというのなら」
「退くことはないのだな」
「そういうことだ。ではだ」
その突進してくる頭に向かって剣を一閃させた。
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