第二十三話 異形その十五
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「その真の姿をだ」
「それを見せるというのか」
「その時が来ればだが」
前置きも忘れない。これは挑発の意味を含んだ言葉であった。
「貴様にな」
「来ることは間違いない」
また言う牧村であった。
「俺は魔物を倒すことがその責務なのだからな」
「だからだというのか」
「如何にも」
黒人に対してもその闘志を隠さない。静かだが強い闘志だった。
「その時を楽しみに待っているのだな」
「ではそうさせてもらおう」
黒人は彼のその言葉を受けた。
「待たせてもらう」
「そうしておくことだ。さて」
彼との話が終わると。あらためて魔物に顔を向ける。その巨大な顔をだ。
「その前に貴様を倒させてもらう」
「望むところだ。貴様をそのまま食らい」
魔物もまた彼を見据えて言う。
「逆さ男様の憂いを絶とう」
「憂いというのか」
「他の魔神の方々の配下の魔物達に貴様が倒されるのではないかという憂いをな」
そういう意味での憂いであるというのであった。
「絶っておく」
「ふむ。そうか」
黒人はまだ残っていた。老人もである。彼は己の配下の魔物の今の言葉を聞いて満足したような声を出した、表情は変わっていないが。
「相変わらず忠義に篤いようで何よりだ」
「ここはお任せ下さい」
また言ってきたのであった。
「私めが倒しておきますので」
「それでは頼むぞ」
ここで姿が完全に消えた。声だけになった。
「貴様の勝利を聞こう」
「はっ、それでは」
「では私もです」
老人もまた消えようとしていた。
「後は任せましたよ」
「はい、それでは」
いつまでんもまた老人に対して応える。
「お任せ下さい」
「では」
こうして彼等も姿を消し後には牧村と死神、それと魔物達が残った。まずは死神が静かにその右手を己の胸の前にやってみせた。
「それではだ」
「早く変身するがいい」
彼に声をかけたのはいつまでんであった。
「俺の相手をしてもらうのだからな」
「今は攻撃を仕掛けないのだな」
「俺が興味があるのは死神としての貴様だ」
これが彼の返答であった。
「人間の姿をしている貴様ではない。そういうことだ」
「顔は同じなのだがな」
「違うな。鎌を持っていない」
そこが違うというのであった。
「それでは貴様は死神とは言えまい。違うか」
「確かにそれは一理ある」
死神も今の魔物の言葉を否定することはなかった。
「あの鎌で私は命を刈り取るのだからな」
「早くその鎌を出してみせるのだ」
急かしてさえきていた。彼に鎌を出す様に。
「そのうえで私と戦うのだ。いいな」
「いいだろう」
死神は魔物の言葉を受けた。そうして今その右手を拳にして完全に胸の前にやった。するとそこから青い光が発せられ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ