第二十三話 異形その十三
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「我もまた然りだ」
「ならば共に行こう」
「ビルの屋上にな」
「この時代の階段はだ」
三人はビルの中に入るとその右手の階段を登っていく。灰色のビルの中の階段もまた灰色であり薄い暗がりの中にその姿を見せている。
「えらく堅固な石だな」
「コンクリートという」
「これは見たことがあるか」
「聞いたことはある」
そのコンクリートを巨大な足で踏みながらの言葉であった。
「そういうものがあるというのはな」
「そうか。あるのか」
「これは古代ローマには既にあったのだがな。その時代にか」
「ローマか。懐かしい名前だ」
ローマという言葉に反応を見せる彼であった。
「かつてそうした国があった」
「ローマ帝国だ」
死神の言葉である。
「そのことは貴様も知っているようだな」
「旅をしたことがある」
彼はまた言った。
「しかし見たことはなかった。こうしたものはな」
「ではよく見ておくことだ」
こう言う黒人に対しての言葉であった。
「これをな。よくな」
「そうさせてもらう。では屋上まで行くとしよう」
死神の言葉を受けながらさらに登っていく黒人であった。そうして三人で屋上に辿り着くとだった。もうそこには老人が彼等を待っているのであった。
屋上からは他のビルも見える。屋上と貯水槽がどのビルにもある。それは彼等が今いる屋上と全く同じであった。それぞれのビルの高さが違い段差にはなっていたが。
「さて、ようこそ」
三人を見ての今の老人の言葉であった。
「戦の場へ」
「そうだな。戦だ」
黒人は彼のその言葉に低い声で頷いた。
「我の最も愛するな」
「そう思ってのことです」
老人は自らの横に移ってきた彼に対してまた告げた。その背丈も体格も優に倍はあった。何処までも大柄な黒人の姿であった。
「貴方の魔物も喜ぶであろう場所を選ばせてもらいました」
「そうだったのか」
「無論私の魔物も」
老人の目が光った。赤い禍々しい光であった。
「楽しめるようにです」
「楽しめるようにか」
「貴様の魔物もか」
「はい」
今度は牧村と死神に対して答えてみせるのであった。
「その通りです」
「ここで楽しめる魔物というとだ」
「すぐにおわかりになられますよ」
その言葉と共に。上から何かが舞い降りて来た。それは。
「むっ!?」
「その魔物だというのか」
「百目様」
異形の姿であった。その魔物はまずは百目の傍に舞い降りそのうえで彼に声をかけてみせたのであった。
「参上致しました」
「流石ですね」
その魔物の方を見ずに彼に声をかける老人であった。
「もう来られるとは」
「いえ、遅れたのでは」
「いえ、早い時間でしたよ」
高祖の魔物に声をかける。その魔物は人の顔に鳥の翼を持ちまる
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