第二十三話 異形その十二
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「十二魔神の一人か」
「如何にも。我は逆さ男」
自分から名乗ってみせたのであった。
「これが我の名だ」
「逆さ男は」
「今は姿を見せることはない」
彼は牧村に対して言ってきたのであった。
「我の真の姿はな」
「俺と闘う時になればか」
「その時まで見せることはない。安心するのだ」
こう彼に告げるのであった。
「それはな」
「わかった。では今はいい」
牧村も彼の言葉を受けて述べた。
「貴様の姿を見なくともな」
「だが。髑髏天使には今日倒れてもらう」
その巨大な身体から牧村を見下ろしての言葉であった。やはり途方もない巨大さであった。それは同じ魔神であるあの氷の神ウェンティゴ以上のもであった。
「この日にな」
「魔物をもう連れて来ているのか」
「その通りだ」
まさにそうだというのであった。
「用意はいいか。戦いの」
「だからこそ今ここにいる」
「私もだ」
死神もまたここで言ってみせたのであった。
「それだけだ」
「答えはこれで充分か」
「そうだな。それだけでいい」
黒人も二人の言葉を聞いて述べた。
「では。行くとするか」
「今回の場所は何処だ」
「私としては何処でもいいがな」
「それは私が見つけておきました」
老人が笑みと共に二人と黒人に対して言ってきたのだった。
「既に。ですから御安心下さい」10
「そうか。貴様がか」
「もう見つけてあるというのか」
「私もまた魔物を用意しておきましたので」
それと共にこうも言ってきたのであった。
「是非。楽しんで下さい」
「わかった。ではまずは行こう」
「その場所にな」
「こちらです」
言うと身体を左にやってそのうえで向かう。そこは目の前のビルであった。
その入り口に入って行く。黒人もそれを見て言うのであった。
「この高い塔の上が戦いの場か」
「ここはビルという」
「そのことは言っておこう」
牧村と死神が今声をあげた男に対して告げた。
「どのみち暫く今のこの日本にいるのだからな」
「覚えておいて損は無い筈だ」
「そうか。ビルというのか」
実際にビルに顔を向けて声を漏らす男であった。
「ここがそうなのだな」
「では入るとするか」
「そして上に向かおう」
「我も行くとしよう」
言いながらそれぞれビルに入ろうとする。三者は互いに隣り合った。しかしここで黒人はその二人に対してこう言ってきたのであった。
「今は戦わない」
「今はか」
「貴様自身はだな」
「安心しろ。魔物も連れて来ているがここでは戦わない」
こう二人に言うのである。
「ここではな」
「戦うのは戦場でか」
「今はビルの上でということだな」
「その通りだ。魔物は決められた場所でしか戦わない」
黒人の言葉は強
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