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SAO─戦士達の物語
SAO編
十二話 その男、強者にて
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器だって──」
 今まで周りと同じくぽかんと口を開けていたロザリアが急に甲高い声で喚いた。

 確かに、噂などでよく聞く《ジン》と言う人物の得物は、柄が長く、先に付いた刀身は青龍刀のように通常の薙刀より大きく幅の広い刃に特徴的な黄金の龍の彫刻の様な物が成してあると言う武器。

俗に言う青龍偃月刀と呼ばれる物だと言う事は、シリカも知っていた。

「こんな所って……良いとこだと思うんだがなぁ……。あぁ、武器の事ならたぶんこれだと思う」
 リョウはいたって普通の態度を崩さず答えると、不意に腰に釣っていた曲刀を回転させるようにして振り回し始める。
やがて、曲刀の柄の部分がどんどんと長くなっていき……最終的にはブンブンと風切音を立てながら柄の長い曲刀がリョウの手の中で回っていた。
リョウが回転を止め「ダン!」という音と共に地面に武器を叩きつけると、それだけで周囲がびくりと反応する。

 そこに有ったのは、長い柄と、先に突いた青龍刀。そして何より、黄金の龍の彫刻が掘られた武器。
それはまさしく、古来、中国のとある英雄が好んで使用したと言われる大刀。
青龍偃月刀だった。

「正確にゃあ、青龍偃月刀じゃなくて冷裂《れいれつ》って立派な固有名が有るんだがな……」
少し残念そうにリョウは嘆き再びロザリアの方を見つめる。此処まで来ると相当に真実味が有るとシリカには思えた。ロザリアの部下もそう感じたらしく、一人の部下がロザリアに囁きかける。

「ろ、ロザリアさん……やっぱり、本物なんじゃ……」
「そ、そんな訳ないだろ!どうせ、名前を騙ってビビらせようってコスプレ野郎に決まってる。それに──もし本当に《ジン》だとしても、この人数でかかれば一人くらい余裕だわよ!!」
もし相手が本当に《ジン》であるなら、とてもそうは思えないと周囲の男達は思ったが、しかしなまじ証拠が無かった事を幸いと言うべきか。ロザリアのその発言に勢いづいたように、オレンジプレイヤー達の戦闘に立つ大柄な斧使いも叫んだ。

「そ、そうだ!攻略組なら……まして此奴なら、すげえ金とかアイテムとか持ってんだぜ!オイシイ獲物じゃねえかよ!!」
 口々に同意の声が上がり賊たちは一斉に抜剣する。無数の金属がギラギラと凶悪な光を放っている。

「リョウさん……本当に……?」
 その姿に再び恐怖が湧きあがって来たシリカは、リョウの方を見上げるとすがるようにクリスタルを握りしめたままで聞いた。リョウはシリカの方をちらりと見ると、ニヤリと笑う。

「ま、お兄さんに任せとけ」
「は、はいっ!」
そう言ったリョウに、シリカは素直に頷いた。大丈夫だ。何故なら《ジン》と言うその名は──かの聖騎士に並ぶ、このアインクラッド最強の“戦士”の名なのだから。

リョウは動かない。それどころか、
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