SAO編
十二話 その男、強者にて
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なとがった髪形をしていた。
十人の盗賊は、皆派手な格好をした男性プレイヤーだった。
全身に銀のアクセサリーやサブ装備をじゃらじゃらとぶら下げている。ニヤニヤとした笑いを浮かべる男たちは、シリカの体に粘つくような視線を投げかけて来た。
その視線に激しい嫌悪感を感じて、シリカはリョウの浴衣の裏に姿を隠し、小声で囁きかける。
「り、リョウさん……数が多すぎます、脱出しないと……!」
そう言ってリョウの顔を見ると……
「ふぁ〜あ…………ムニャ」
リョウは大きなあくびをしていた。そこには焦りも恐怖もなく、ただ純粋に、この二月とは思えないほど暖かい陽気のフィールドのおかげで眠気を感じているように見える。
シリカは危うい所で昔ながらのギャグ漫画よろしくズッコケそうになるのを堪えたが、戸惑いは隠せない。
それは目の前の盗賊団も同様だったらしく、何か変な物を見るような視線をリョウに送っている。いや、というか既に変な奴だと思っているだろう。
「あ、あの……リョウ、さん?」
「ん?あぁ、すまんすまん……余りにも暖かいもんでつい、な。」
「いえ、あの、それは良いんですが……えっと?」
思わず後半は疑問形になってしまう。あまりの緊張感の無さになんだかこれがドッキリなのでは無いかという気さえして来た。
「あぁ、大丈夫大丈夫。俺が逃げろって言わん限りは、結晶用意してそこで見てればいいから。」
のんびりとした声で答えつつ、リョウはそのまますたすたと橋に向かって歩き出す。
シリカはしばし呆然とその後ろ姿を眺めていたが、慌てて我に帰り、再び大声で呼びかけた。
「り、リョウさん……!」
その声がフィールドに響いた途端──。
「リョウ……?」
不意に一人の賊が眉をひそめ、何かを思い出すように視線をさまよわせ始めた。
「浴衣……偃月刀……じ……《ジン》……?」
急激に男の顔から血の気が失せ、数歩後ずさり始める。
「や、やばいよ、ロザリアさん。こいつ……《ジン》だ。こ、攻略組の……」
その言葉を聞いた瞬間ロザリアを含む周りの賊の顔が一斉に蒼白になる。驚愕したのはシリカも同じだ。あっけにとられたまま、目の前のリョウの背中を見つめる。
確かに今までの戦いで相当な高レベルプレイヤーだとは予想していたが、まさか、最前線で未踏破の迷宮に挑み、ボスモンスターすらも次々になぎ倒し続ける《攻略組》、本物のトップ剣士の一人だとは思わなかった。
彼らの力はSAOの攻略の身に注がれ、そもそも中層フロアに降りて来る事すら滅多に無いと聞いていたのに──。
そして何よりも《ジン》と言う名に驚いた。それは──
「こ、攻略組がこんなとこをうろうろしてるわけないじゃない!それに、噂じゃ《ジン》の装備はもっと柄の長い武
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