第二十三話 異形その七
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「全く違う。共産主義というか全体主義のことを言っておるのじゃ」
「つまり隠れ蓑だな」
「そうじゃ。全体主義者を受け入れよというものじゃ」
こう看破するのだった。
「全体主義を受け入れればどうなるかというとじゃ」
「全体主義者は自分以外を認めない」
牧村は看破した。全体主義というものは一人の独裁者、独裁勢力により全てが統率される社会である。まさにロベスピエールのジャコバン派がそうでありナチスもソ連もそうである。ロベスピエールのこれを革命だ民主主義の萌芽だと持て囃す輩は今でもいるがそれは大きな間違いである。
「一旦受け入れればそれで終わりだ」
「その通りじゃ。終わりじゃ」
言い捨てる博士であった。
「それが我が国のリベラルじゃ」
「今でもそうだな」
「連中は変わらんよ」
何処までも見下げた言葉であった。
「絶対にのう。終戦直後から変わっておらんのじゃよ」
「だから今でも北朝鮮を指示できるのか」
「あの下劣なグルメ漫画もじゃ」
博士はこうも言った。ゴロツキの如き黒い服のオールバックの新聞記者がこれまた権力主義と特権思想の塊の如き父親と戦う漫画である。
「あの原作者も同じじゃよ」
「確か学生運動にも関わっていたな」
「あれだけ愚劣な運動もなかったわ」
博士にとってはまさにそうだった。学生運動にしろだ。
「選挙に行って票を入れればそれでいい。それで何故暴れる必要があるのじゃ」
「馬鹿にはわからないことだ」
牧村にしろこう言い捨てる。彼も選挙に行く程度はしているのだ。
「所詮はな。馬鹿だから暴れる」
「あれは間違っても民主主義ではない」
暴力に訴えることを否定してこそである。ましてや革命というのはまさにその民主主義の否定に他ならない。革命から生じるのは何時の時代も一つしかない。全体主義である。
「わからん馬鹿共が今もおるわ」
「マスコミやそういった場所にな」
「連中の言うリベラルなぞ嘘っぱちじゃ」
博士の忌々しげな言葉は続く。
「全体主義に過ぎんわ」
「その全体主義者は妖怪も嫌いだったな」
「連中は現実だけを見ておるつもりでおる」
今度の博士の言葉は馬鹿にしきったものであった。
「妖怪はおらんと妄信しておるぞ」
「宗教と同じくか」
「妖怪もまた宗教じゃからな」
だからだという博士であった。
「否定するのも当然じゃ」
「考えてみればそうか」
妖怪は民間伝承の中に生きている存在である。民間伝承はどの国でも宗教と密接な関わりがある。シャーマニズムがその根幹だからである。
「そうなっていくか」
「しかし妖怪は実際におる」
博士は力説するのであった。
「その証拠がこの部屋なのじゃよ」
「そして僕達だね」
「そういうことだね」
ここで明るく話す妖怪達だっ
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