第二十三話 異形その一
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髑髏天使
第二十三話 異形
「もうそこまでなるなんてね」
「俺も驚いたぜ」
ロッカーが女に対して語っていた。
「まさかもう主天使なんてな」
「早いわね。いや」
女はここで自分の言葉をこう訂正させたのであった。
「早過ぎるわね、これは」
「ここまで早いうちに主天使になった髑髏天使っていないんじゃなかったっけ」
子供はこう言うのだった。
「確か。そうだよね」
「俺の記憶にはない」
子供の問いに男が答えた。
「少なくともな」
「異様な早さだな」
今度言ったのは青年だった。見れば魔神達は全員暗闇の中に集まっている。その中でそれぞれ話をしているのである。円になったうえで。
「これはな」
「はじめてです」
老人も口を開いてきた。
「私達が封印されている間も調べてみましたが」
「それではだ」
紳士も述べたのだった。
「あの髑髏天使はこれまでで最も強い存在なのか」
「ほお、そりゃかなり面白い奴だな」
ロッカーは話を聞いて楽しそうに笑みを浮かべていた。
「戦いがいがあるな」
「戦うにしてはそうですね」
そのことは老人も認めるのだった。ロッカーのその言葉に対して頷きながら。
「それだけ次々と強くなっていけば」
「それにだ」
ロッカーはさらに言うのだった。
「面白いことにも気付いたんだがな」
「面白いこと?」
「そうさ。あいつは今は人間だけれどな」
ロッカーは今度は女の問いに答える形になっていた。そのうえで述べていた。
「少しずつ。自分でも気付かないうちにな」
「どうなっているというのだ?」
「変わってきてるな」
今度も楽しそうに笑っての言葉だった。男の問いに答える。
「俺達に近付いてきてるって感じだな」
「我々にか」
紳士はそれを聞いて考える目になった。そのうえ言葉を出したのである。
「我々に近付いてきているのか」
「どうやらな。近いな」
「じゃあ僕達と戦う理由がなくなるんじゃないの?」
子供はここまで話を聞いてそのうえで言葉として己の考えを出した。
「近くなってくるんじゃ」
「いえ、それは違うわね」
「それとこれとはまた別になる」
しかし今の彼の言葉にはすぐに女と男が言うのだった。
「若しそうなっても髑髏天使は髑髏天使よ」
「我等と戦う宿命にあるな」
「何だ、そうなんだ」
こうは返すがそれでも残念そうなところは何一つとしてない今の子供の言葉だった。
「若しかしてって思ったんだけれどな」
「心が人でなくなろうが髑髏天使は髑髏天使ということです」
老人もそうだと言うのだった。彼は髑髏天使そのものを見ているかのようである。
「我等と戦い続ける宿命にあります
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