第二十二話 主天その二十六
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「それよりもだ」
「帰るのか」
「ここでこれ以上貴様と話しても何にもならない」
また言うのであった。
「行く。それではな」
「相変わらず素っ気無いものだな。だがいい」
死神も彼のそうした態度をよしとした。何でもないというのである。
「それでな」
「いいのか。言いたげだったが」
「言いたいことは終わった」
今はこう返すだけであった。
「だからいい。これでな」
「そうか」
「しかし。一つだけ確かなことがある」
それでも死神はまた言うのだった。
「貴様は主天使になった」
「そのことか」
「これだけ早く主天使になれた者はいない」
このことも同時に告げるのだった。
「貴様がはじめてだ」
「そうなのか」
「そうだ。果たして最高位にまでなれるかどうか」
そのうえでこうした話もしてみせる死神であった。
「どうなるかだが」
「その天使になったとしても闘いは続くのだな」
牧村はサイドカーに向かいながら。また言った。
「俺は」
「その通りだ。貴様の髑髏天使としても戦いはどの階級でも続く」
こうその牧村に告げる死神だった。
「この時代の魔物達を全て倒すまでな」
「そういうことならやらせてもらう」
そしてそれを受け入れる牧村だった。
「そうなってもな」
「ただ。戦う相手が変わるかも知れない」
「また訳のわからないことを言うつもりか」
「貴様がわからなくても私がわかっている」
こう言うのも変わらなかった。
「この私がな」
「貴様だけがわかっていても俺にわからなければ話す意味はないが」
「貴様の心に留まればだ」
彼は言うのだった。
「それがやがて出て来ることになる」
「そういうものか。そして何が言いたい」
「貴様の相手が魔物ではなく私になるかも知れないということだ」
「やはり訳のわからないことを言ったな」
今の死神の言葉を聞いた牧村の返答はこれだった。
「何を言うかと思えばだ。そもそも貴様は」
「そうだ。私は私が刈る魂を刈っているだけだ」
己の仕事のことを語っていることになった。
「私が刈るべきその魂をな」
「俺もその中に入っているとは初耳なのだがな」
「そうなるかも知れないということだ」
死神はまた言うのであった。
「よく覚えておくことだな」
「できるだけ覚えておいておこう」
とはいっても身のない言葉であった。実際に牧村は今の死神の言葉を妙な言葉だと思いそのうえでただ聞いているだけであった。
「それで貴様の気が済むのならな」
「そうしてもらおう。それではだ」
ここで話を切るのだった。そうして。
「それではだ」
「帰るのか、貴様も」
「言いたいことは全て言い終えた」
だからだというのであった。
「では去らせてもらおう」
「で
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