第二十二話 主天その二十四
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「それの威力。見させてもらうぞ」
言いながらその左手に持つ槍を繰り出す。木の葉自体はあっさりと破壊できた。
しかしであった。その裏にあったものはそうはいかなかった。それが何かというと。
「むっ!?」
「一つ言っておく」
ここで髑髏天使はまた言ってきた。
「刃は一つとは限らない」
「どうやらその様だな」
「二つの場合もある」
こう言うのであった。
「こうして。影として含ませておくこともできる」
それはダイアの刃であった。それを木の葉の刃の裏に潜ませていたのである。ダイアは鋼よりも強い。それが今ここで出たのであった。
「くっ、槍が」
「言った筈だ」
また言う髑髏天使であった。
「この刃はだ」
「この世で最も硬いのだったな」
「今の貴様の言葉だ」
それをそのまま返す形となっているのであった。
「さて。その槍で防げるか?」
「くっ」
槍がへし折られてしまった。弾こうとしたがそれを折ったのである。そして魔物が新たな槍を出そうとしたその瞬間だった。髑髏天使は一気に間合いを詰めたのであった。
既に両手の剣はダイアにしている。それで切りつける。何とか槍を出した魔物はそれで防ごうとする。しかしそれは適わなかった。
槍を繰り出すが今度は弾かれてしまったのだ。やはりダイアの方が強かった。
そして左手のサーベルを左から右にと一閃させる。それで勝負は決まった。
「ぐっ・・・・・・」
「決まったな」
サーベルを一閃させたうえでの言葉であった。刃がダイアとなったサーベルは魔物の右脇にあるその首を深くまで切っていた。それは胸までも切ってしまっていた。
「貴様の首は弱点に他ならない」
「それを見抜いていたというのか」
「どの様な者でも首は弱点だ」
だからだというのである。
「それを狙っただけだ」
「そういうことか。私の弱点もまた首だとわかったか」
「離れていようと弱点は弱点だ」
また言う髑髏天使だった。
「そこを衝く。そのことにも気付いた」
「では主天使にならずとも貴殿は私に勝つことができたか。いや」
自分の言葉をここで訂正した魔物だった。その身体から青白い炎が出て来ている。今まさに倒れようとしていることがはっきりと出ていた。
「それに気付いたからこそ主天使になれたのかもな」
「そうかも知れない。どちらにしろ俺は勝利を収めた」
そのことだけがはっきりと言えることであった。
「貴様に対してな」
「そのことは褒めよう」
魔物の身体に出て来ていた炎がさらに多くなってきた。
「そしてだ。最後に伝える言葉は」
「何だというものだ?」
「さらばだ」
こう髑髏天使に告げた。
「貴殿との闘いは実に有意義なものだったと言っておこう」
「それは俺も同じことだ」
髑髏天使
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