第二十二話 主天その十九
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「このままでは貴殿が敗れることになる」
「俺がだというのか」
「現に貴殿の動きにも疲れが見えてきている」
両手を同時に使うというのはやはり普段より体力も気も使う。だからである。魔物もそのことを見抜いているのだ。
「だが私はそうではない」
「疲れていないというのだな」
「私は利き腕を使っているだけだ。貴殿とは違う」
こう言うのである。
「その負担はな」
「くっ、確かにな」
「このまま続けるだけで私の勝利が近付く」
それがわかっているからこそ攻撃を続けていくのであった。
「それではだ」
「だがそう簡単にいくとは思わないことだ」
魔物の読みを把握したうえで返す髑髏天使であった。
「全てがその様にな」
「面白い。では私の読みを外せるというのか」
「俺のことは誰にも読めるものではない」
攻撃はこの間にも激しいやり取りが続いている。
「誰にもな。そう」
「そう。何だ?」
「俺自身にすらもだ」
ここで妙なことを言った。少なくとも魔物はそう感じた。
「どういうことだ?」
それで思わず問い返した。それに対する返答は。
「俺の中では常に何かが起こっている」
「常にか」
「そうだ。それでどうなるか俺にもわからない」
だからだというのである。
「この俺自身にもな」
「貴殿にはイレギュラーの要素が多いのは事実だな」
魔物は髑髏天使の言葉をそう捉えたのだった。
「それではだ」
「そうだ。果たして今もどうなるかだ」
言いながらも二本の剣を振るい続ける。
「わからないのだからな」
「ではそれも見せてもらおう」
首無し騎士は今もこう言うだけだった。やはり沈着である。
「貴様のそれをな」
こう言い合い闘う両者だった。そして死神も魔物と闘い続けていた。
回転するコーヒーカップの上で両者は睨み合っていた。死神も魔物もそれぞれのコーヒーカップの上に立っている。そのうえで睨み合っているのだ。
「さて、どう攻めるのだ」
「私がどうやって攻めるかか」
「見てみたいものだ」
こう言って今は動かないのだった。
「貴様のそれはな」
「私の攻撃を見たいというのか」
「そうだ。どう動くのだ?」
魔物は自分から動かずにこう言うだけだった。
「それを見てみたいのだ」
「敵の動きを見たいとはな」
死神はその魔物の言葉にまずは妙なものを感じ取った。
「貴様も変わった奴だ」
「では何もしないのか?」
「そうは言っていない」
それは否定する死神だった。
「では見せてやろう」
言いながらであった。大鎌を構えたその姿勢のまま音もなく前に出た。足は全く動かすことなくただ前に出てみせたのである。
その姿勢で魔物の前に現われ。そのうえで鎌を振るってきた。
「受けろ」
「そうか
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